p.37 抽出テキスト
十分診断できるが,multi-planar reconstruction(MPR)像は偽腔やULPの頭尾側への進展,大動脈分枝への進展を把握するために有用である.単純CT検査においても石灰化や血腫が評価でき,したがって,大動脈内膜石灰化の内腔側偏位は大動脈解離診断の重要なポイントになる(図32).偽腔閉塞型の急性期は,凝血塊あるいは血腫によって満たされた偽腔が大動脈壁に沿って長軸方向に広範囲に広がり,三日月状の高濃度域として認められる135).造影早期相は造影剤のファーストパスの間に全大動脈を撮像する.偽腔開存型では造影される2腔構造,偽腔閉塞型では造影されない偽腔,ULP型ではULPの存在を証明することが可能であり,診断を確定することができる. a. 偽腔開存型 偽腔開存型(図33)の真腔と偽腔の判別は以下の基準に従う. ・ 拡大した方が偽腔であり,真腔は狭小化していることが 多い.・ 壁の石灰化がある腔が真腔である(例外として,慢性解 離で偽腔壁に石灰化をきたす場合がある).・ 壁在血栓がある腔が偽腔である(例外として,真性大動脈 瘤に解離を合併すると真腔に壁在血栓がある場合がある).・ dynamic studyで先に造影される腔が真腔であり,偽腔 は遅れて造影される.・ aortic cobweb(不完全に剥離した索状構造物で,中膜の 一部)が認められれば偽腔である136)(図34).また,偽腔血流が非常に遅延した場合には,造影早期相で偽腔が造影されず,後期相で造影剤の流入を認めることがあるため,造影後期相まで撮像する必要がある(図33). entryに関しては,剥離内膜の断裂像として認められる(図35).上行大動脈では剥離内膜が撮像面と垂直になるためentryを捉えやすく,CTでは93%の症例で認識できたという報告がある137).一方,弓部大動脈では撮像面が剥離内膜と平行になるため認識しにくく,MPR像での評価が有用である(図36).TEVARによるentry閉鎖では, entryの位置を正確に同定する必要があるが,5 mm厚のCTではentryの同定が困難である.1 mm以下の薄いスライス厚で撮像し,ていねいに読影すれば,entryが同定可能となることが少なくない.また,急性大動脈解離で上行大動脈内のフラップの動きが激しい場合,心電図同期下での撮像が有効である. 図32 大動脈解離,石灰化内膜偏位像造影CTにて大動脈内膜の石灰化が解離により内側に偏位している(↑). 図33 偽腔開存型大動脈解離a:造影早期相にて偽腔内全体に血流を伴う典型的な偽腔開存型大動脈解離b ~e: 造影早期相では偽腔内の一部は造影されず,造影後期相にて遅れて 造影されている. 造影CT 早期相造影CT 早期相造影CT 後期相 a b d c e