p.32 抽出テキスト
観性に優れている.ただ,大動脈が蛇行や斜走する場合,瘤径を過大あるいは過少評価するリスクがある(図21). b. 胸部大動脈瘤i. 上行大動脈瘤 上行大動脈では,心拍動に伴う階段状のモーションアーチファクトが評価の妨げになるが,心電図同期下で撮像すればこの問題は生じない.バルサルバ洞動脈瘤や大動脈弁輪拡張症の評価に試みるのがよい(図22). ii. 弓部大動脈瘤 弓部大動脈瘤に対する侵襲的治療(外科手術とTEVAR)では,弓部分枝の再建を考慮する必要があり,瘤の進展範囲を精確に評価しなければならない.3次元画像では任意の方向から観察可能であり,大動脈瘤の形態や広がりを立体的に把握でき,瘤と弓部分枝との位置関係を評価することが可能である.瘤径の計測では,横断像に加えMPR像が有用である(図23). iii. 下行大動脈瘤 瘤の大きさ,壁在血栓の有無,上下方向への進展,周囲臓器との関係を評価するが,近位下行大動脈瘤では弓部 分枝との位置関係が問題になるため,近位側への進展に注意する. iv. 胸腹部大動脈瘤 腹部主要分枝の再建が必要になることがあり,瘤の下端とこれらの分枝の位置関係を明らかにする.TAAAあるいは遠位下行大動脈瘤の侵襲的治療の合併症として脊髄虚血があるが,Adamkiewicz動脈の閉塞が一因となっている.Adamkiewicz動脈はTh9~L2の肋間動脈や腰動脈から分岐する頻度が85~90%とされており,MDCTを用いて非侵襲的に描出することが可能になっている119). c. 腹部大動脈瘤 存在診断に加え,瘤径の正確な評価が可能であり,瘤壁の石灰化や周囲の状況,壁在血栓の量や状態,周辺臓器の状態を評価する.瘤と腎動脈および腸骨動脈との関係の把握が重要であるが,3次元画像が有用である.また,上記に加え,下腸間膜動脈や内腸骨動脈の開存などの必要な情報を得ることができる120–122). 図21 大動脈瘤のサイズ計測a :VR (volume rendering)像b :CPR (curved planar reconstruction)像c :stretched CPR像d :横断像 (axial image)での計測横断像での計測は,最大長径(点線:66.4 mm)は過大評価となり,最大短径(矢印:54.8 mm)は過小評価となる. e :大動脈中心線に対する垂直断面像 (perpendicular image)での計測大動脈の中心線ないし軸に直交する垂直断面像での計測(55.8 mm)が最も精確 な評価である. d e c a b 66.4 mm 54.8 mm 55.8 mm