p.30 抽出テキスト
3 画像診断 3.1 単純X線写真 大動脈瘤・解離を評価するには,胸部では立位胸部正面X線写真(PA像),腹部では仰臥位腹部正面X線写真(AP像)が基本となる. 3.1.1 大動脈瘤 TAAは,健診などの単純X線写真で発見されることがある.正面像で上行大動脈の輪郭に連続して右方に突出する陰影として認められることが多い(図19-a).弓部瘤では,左第1弓に腫瘤状の陰影を呈するが(図19-b),時に下方へ突出することもある.下行大動脈では,大動脈の輪郭に連続する紡錘形あるいは円形の陰影として認められる(図19-c).AAAにおける単純X線写真の意義は高くない が,ときに動脈瘤壁の石灰化がみられ,瘤の存在を認識できることがある(図19-d). 3.1.2 大動脈解離 急性大動脈解離では縦隔陰影の拡大が見られることがあるが,仰臥位では正常でも縦隔が拡大して見えることがあるため,診断的意義については議論が分かれるところである.大動脈壁の内膜石灰化の内側偏位は解離を示唆する所見であり,とくに発症前の写真と比較して変化があれば信頼度は高い.大動脈壁外縁と内膜石灰化との距離は通常2~3 mmであり,6 mm以上あれば解離の存在を疑わせる112).しかし,解離があるにもかかわらず,単純X線写真で異常所見を認めない症例も約20%あるので注意が必要である113).そのため,縦隔拡大などの所見がなくても,臨床症状からその存在を疑う場合には,CT検査やMR検査など他の画像検査を積極的に進めるべきである.また,単純X線写真で解離に合併する胸水や心不全などの二次的所見を評価することができる. 図19 大動脈瘤の単純X 線立位・仰臥位正面像a :上行大動脈の輪郭に連続して右方に突出する陰影(PA像). b :左第1弓が左側に突出しており,弓部大動脈瘤が示唆される(PA像). c : 下行大動脈では,大動脈の輪郭に連続する紡錘形あるいは円形の陰影として認められる(PA像). d :腹部では動脈瘤壁の石灰化がみられ,瘤の存在を認識できることがある(AP像). a b c d