p.25 抽出テキスト
維細胞性内膜肥厚と動脈硬化性が主体であり,中膜を病変の主座とする疾患は結合織疾患と炎症性疾患があげられる.それぞれについては別項で記載する. 3 大動脈瘤とは 大動脈壁が拡張し,外膜側に突出している状態を指すが,真性瘤は大動脈瘤壁が内膜,中膜,外膜のすべてから構成されているもので,仮性瘤は瘤壁に中膜成分はなく,外膜または周囲結合織から構成されている場合である(図17).解離性瘤は,entryとしての内膜剥離から中膜筋層に血流が入り込み,偽腔を形成し,その偽腔が拡大して血管径が大きくなったものである55). 4 大動脈硬化症 動脈硬化は炎症,線維増生,石灰化などによる動脈壁の弾力性の低下から血管機能の障害をもたらす変化である(図18).加齢性変化や高血圧などの慢性的な圧負荷が原因となる.大動脈では主に石灰化を伴った進行した粥状硬化症により拡張と狭窄病変を呈する.動脈硬化性病変はAHAにより初期病変(グレードI,II),中等度病変(グレードIII),進行・複合病変(グレードIV,V,VI)に分類されている56–58). 進行・複合病変(advanced,complicated lesion)では線維性肥厚した内膜下にTリンパ球,マクロファージによる炎症とともに膠原線維増生と脂質の過剰な沈着(コレステリン沈着)から成る粥腫を形成する.内膜肥厚部では石 灰化も出現する.粥腫の形成は腹部大動脈では腎動脈下で最も顕著になる.腸骨動脈ではしばしば高度狭窄を呈する.胸部では弓部と頚部・鎖骨下の三分岐周囲に粥腫形成が先行することが多い.粥腫表面は内皮細胞傷害により潰瘍形成をきたし,そこに血栓形成などを呈することで,複合病変(complicated lesion)とよばれ,AHA分類56–58)のIVからVIに相当する(図18).この段階になると多量の粥腫が中膜にも波及し,中膜は菲薄化して動脈瘤形成や大動脈解離を惹起しやすくなる. 5 粥状硬化症による大動脈解離 穿通性動脈硬化性潰瘍(PAU)を基盤とし,PAUの潰瘍底部が破綻して解離に進展する59–64). 図18 大動脈粥状硬化のグレード(AHA 分類)グレードIV以上が複合病変 グレード I/II内膜肥厚粥腫なしグレード III 粥腫壊死なしグレード IV 粥腫壊死性コアなしグレード V 石灰化病変グレード VIプラーク破裂/潰瘍プラーク内出血 大動脈解離/解離性大動脈瘤 真性大動脈瘤 仮性大動脈瘤 図17 大動脈瘤の形態