p.24 抽出テキスト
1 大動脈の正常と加齢変化, 動脈硬化 大動脈は大動脈弁を含むバルサルバ洞に始まり,上行,弓部,下行胸部,腹部へと続く.正常の大動脈は血流面の1層の内皮細胞とその直下の薄い基質からなる内膜層を有し,中膜は平行に走行する弾性線維による弾性板層と膠原線維とプロテオグリカン,それらを産生する平滑筋細胞から構成されている.中膜弾性板層は上行大動脈で最も多く50 ~60層あり,下行大動脈では30層以下となっている(図15).動脈硬化や中膜の変性,また加齢に伴って,以下の3つの変化,1中膜平滑筋細胞の減少,2弾性線維の断片化, 3細胞外基質の増加,がそれぞれ過剰になると,瘤として の表現形を示す.その結果として血管は拡張し,長さも長くなって蛇行する(図16).外膜のvasa vasorumから中膜へ入り込む血管は中膜の外膜側1/3までで,それより内膜側には正常では血管の分布はない.しかし,中膜が破壊されるような病変がおこると中膜内の血管新生がみられる.外膜は疎な結合組織から構成され,vasa vasorumや末梢神経,リンパ節が散在性に存在する.大動脈疾患は,動脈硬化症,中膜変性疾患による中膜の萎縮,炎症性疾患に大別され,その多くが大動脈瘤となるが,中膜弾性板層の破壊と血行力学的な影響により大動脈瘤形成に至る55). 2 大動脈病変 大動脈の病理組織学的な病的反応として,内膜では線 第2章 病理 図15 大動脈正常構造(20 歳代代表例,非同一症例) 内膜 中膜 外膜 図16 大動脈の加齢変化(80 歳代代表例,非同一症例)