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p.23 抽出テキスト

が高くなることが示唆されている.したがって,上記の基準を満たす嚢状瘤は紡錘状瘤に比して破裂リスクの高い瘤として扱う必要があり,「真の嚢状瘤」といえる.ただし,突出部分(neck widthまたはvertical diameter)が短い嚢状瘤の場合には,上記パラメーターではリスクが過大評価されるので注意を要する.

また,瘤の存在部位に屈曲が重なると,嚢状瘤の評価が難しくなる.そのような場合には,冠動脈CT検査で使われている技術で画像を直線化して評価することが可能である.図13と14は,3D-CT画像ではどちらも嚢状にみえるが,直線化して上記の計算をしてみると図13は高リスク嚢状瘤,図14は低リスク嚢状瘤となる.

一方で,嚢状瘤の拡大速度は紡錘状瘤と差がないとする報告もあり52),また,大動脈径を補正した嚢状瘤の最大壁圧は紡錘状瘤と差がないとする報告53)もある.そもそも嚢状瘤の定義が曖昧であったため,研究対象の母集団の中に上記のような「嚢状瘤にみえる紡錘瘤」が多く混じっていたものと考えられる.結論として,嚢状瘤に対する侵襲的治療の適応サイズは明確にできないが,AAA多数例のコホート研究では,破裂時点における動脈瘤径の比較において嚢状瘤の8.4%が45 mm未満,紡錘状瘤の8.1%が55 mm未満とほぼ同比率であることより,「(紡錘状瘤の適応サイズ) - 10 mm」が侵襲的治療の適応の一つの目安と結論している54).この意見を採用すると,嚢状瘤における侵襲的治療の適応サイズはhorizontal diameterにて,AAA ≧45 mm以上,TAA≧50 mmを設定ラインと考えてよいかもしれない.

残念ながら,嚢状瘤の破裂リスク評価はその定義を含め確定しておらず,そのことに留意して治療適応を決定する必要がある.

図11 高リスク嚢状瘤の定義(1)

neck width

sac depth

高リスク嚢状瘤:sac depth / neck width>0.8

図12 高リスク嚢状瘤の定義(2)

vertical diameter

horizontal diameter

高リスク嚢状瘤:vertical diameter / horizontal diameter<1.0図13 高リスク嚢状瘤

右図はsaggital line(S)の矢状断を直線化したもの. sac depth (D) / neck width (W) =1.03>0.8 neck width (W) / horizontal diameter (H)=0.73<1.0 (D=54.8 mm,W=53.0 mm,H=72.2 mm)

図14 低リスク嚢状瘤右図はsaggital line(S)の矢状断を直線化したもの. sac depth (D) / neck width (W) =0.64<0.8 neck width (W) / horizontal diameter (H)=1.01≧1.0 (D=36.0 mm,W=56.5 mm,H=55.8 mm)