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p.22 抽出テキスト

PQ 1

動脈解離」と呼称する.真腔 true lumen:本来の動脈腔.偽腔 false lumen:壁内に新たに生じた腔(「解離腔」は用いない).解離フラップ flap:(内中膜)隔壁.剥離内膜ともいわれたが,実際は内膜と中膜の一部によって構成される.裂孔・裂口,亀裂 tear:解離でみられる,内膜・中膜の亀裂部位で,真腔と偽腔が交通する部位.intimal tearも慣用的にtearの同義語として用いられる.エントリー entry:真腔から偽腔へ血流が入り込む部位.リエントリー re-entry:偽腔から真腔へ血流が流れ込む部位. (入口entryと再入口部re-entryを兼ねる用語として,「交通口(交通孔)」も用いる)偽腔開存型解離:大動脈解離の欧州における分類のcommunicating aortic dissection と同義.classic dissection, double barrel aortaともいう.本邦における大動脈解離の3分類の一つ.偽腔閉塞型解離:大動脈解離の欧州における分類のnoncommunicating aortic dissectionと同義.本邦における大動脈解離の3分類の一つ.潰瘍様突出像ulcer-like projection(ULP):偽腔の一部に動脈造影検査などの画像診断で認められる小突出所見(protrusion).画像診断法によってその検出能は異なるが,「画像上の所見」であることから,それらの中には種々の病態(tear,分枝の断裂部位,動脈硬化性潰瘍部位など)が含まれる.臨床的にはサイズにかかわらず病態が不安定であることから,厳重な監視を必要とする.したがって,注意を喚起するため,次項の「ULP型解離」は偽腔開存型解離に準じて対処することを推奨する(詳細はPQ 9,P. 93参照). ULP型解離:ULPをもつ解離.本邦における大動脈解離の3分類の一つ.古典的大動脈解離 classic aortic dissection:tearやフラップをもつ解離.欧米におけるacute aortic syndromeの3分類の一つ.本邦の「偽腔開存型解離」とほぼ同義.壁内血腫intramural hematoma(IMH):病理学的にはtearのない解離.欧米におけるacute aortic syndromeの3分類の一つ.本邦の「偽腔閉塞型解離」とほぼ同義(詳細はPQ 9,P. 93参照).壁内出血 intramural hemorrhage:壁内血腫と同義.穿通性動脈硬化性潰瘍 penetrating atherosclerotic ulcer (PAU):動脈硬化性病変が潰瘍化して,内弾性板,中膜以下に達するもの.欧米におけるacute aortic syndromeの3分類の一つ.壁内血液貯留 intramural blood pool(IBP):肋間動脈が

傷害されたことに起因する血液貯留.ULPとの鑑別が必要.再解離 re-dissection:元来の解離の部位とは別の部位に新たに解離が発生したもの.または,同じ場所に新たな解離が起こって3腔となった場合.再開通 re-canalization:血流がなく閉塞していた偽腔に再び血流が生じた状態.逆行性解離 retrograde dissection:解離が中枢側に向かって逆行し,それが広範である場合を指す.左鎖骨下動脈以遠にULPがあるA型解離は逆行性解離を強く疑う.解離の進展 extension:解離が動脈の主に長軸方向に拡がること.いったん終了した解離がある時間をおいて再び進展すれば再解離の範疇に入れてよい.解離(偽腔)の拡大 enlargement:偽腔が主に短軸方向に拡がること.

嚢状瘤は早期手術の対象とすべきか推奨嚢状瘤,特に突出が著しい嚢状瘤ほど破裂しやすいが,破裂リスク評価はいまだ確定しておらず,嚢状瘤に対する手術適応は慎重に決定する必要がある.

大動脈瘤の形状は紡錘状と嚢状に大別される.大動脈瘤の手術適応は,紡錘状の場合には大動脈径によって決定されることが多いが,嚢状の場合には破裂のリスクが高いと考えられるため,紡錘状の場合よりも大動脈径が小さいにもかかわらず,より早期に手術適応とされることが多い.したがって,紡錘状であるか嚢状であるかは,手術適応を決定するための最も重要な判断材料の一つである.嚢状の一般的な定義は,「局所または偏側性の大動脈の拡大(focal or asymmetric aortic enlargement)」48)とされているが,曖昧であり,より厳密な定義が求められてきた.

近年では有限要素分析法により,破裂リスクの高い嚢状瘤と,紡錘状瘤と変わらず破裂リスクの低い「嚢状瘤と認識されてきた瘤」とがあることがわかってきた.図11のように,sac depth/neck width>0.8を高リスク嚢状瘤の定義とすれば,>0.8 をみたす嚢状瘤は,大動脈壁ずり応力(wall shear stress)が低く49),その結果,破裂のリスクが高くなる50).また,図12のように高リスク嚢状瘤をaspect ratio(vertical diameter/horizontal diameter)<1.0 と定義すると,<1.0 で最大主応力(maximum principle stress)が非常に高いことが示されている51).上記のように,高リスク嚢状瘤の定義は一様ではないが,嚢状瘤における瘤の突出が著しいほどsac depth/neck widthは大きくなり,逆にvertical/horizontal diameterは小さくなり,破裂リスク