GL検索 v0.1.0
画像は 175 ページを描画したものです
page 175

p.175 抽出テキスト

部痛,灌流障害による間欠性跛行・腹痛・腎機能悪化などの症状を呈することがある.

2.3 診断

大動脈疾患は造影・非造影CT検査,MRI検査,経食道エコー検査などの断面像にて診断される.大動脈疾患の慢性化は,画像的には壁肥厚,非可動性解離内膜,偽腔血栓化,慢性解離の瘤化(主に遠位弓部)などで診断される.症候性患者においては,破裂に伴い各種画像検査にて縦隔血種,心嚢液・胸水貯留,後腹膜血腫などを認めれば早急に集学的治療を検討する.

2.4 術前サーベイランス

大動脈疾患に対する術前サーベイランスは,どの疾患に対して,どのモダリティーを用い,どのような間隔で,何を目的に行うか,などを疾患別に考慮して計画する.大動脈疾患にはTAA,AAAと急性/亜急性大動脈解離,解離性大動脈瘤が含まれるが,より動脈硬化素因が強いAAAとTAA(弓部・下行大動脈)においては,大動脈疾患のみを注視するのではなく,他の動脈硬化性疾患や危険因子に対する管理が必須である.

TAAに関する術前サーベイランスはCTによる評価が推奨されており,瘤径が45 mm未満であれば1年ごと,45~ 55 mm未満であれば3~6ヵ月ごとでのCT検査が必要となる.TAAに対する画像検査にて瘤径拡大速度が半年で5 mm以上,または瘤径が55 mm以上と診断された場合は,侵襲的治療を検討する.一方,AAAの術前サーベイランスにはエコー検査,治療方針決定にはCT検査を用いることが推奨されており,瘤径が30~40 mm未満は1~2年ごと,40 ~50 mm未満は6~12ヵ月ごと,50~55 mm未満は3~6ヵ月ごとでのエコー検査またはCTを用いたサーベイランスが推奨されている321).AAAに対する画像検査にて瘤径拡大速度が半年で5 mm以上,または瘤径>55 mm (男性),大動脈径>50 mm(女性)を認めた際には侵襲的治療を検討する.なお,本邦における小径大動脈瘤の定義と的確なサーベイランス間隔に関する議論はPQ 13 に委ねる.

急性大動脈解離においては,発症から2週間後までを急性期,発症2週間後以降3ヵ月後までを亜急性期,発症3ヵ月後以降を慢性期と臨床的に分類する.急性期に合併症のあるA型・B型解離は緊急・準緊急侵襲的治療(人工血管置換術/TEVAR)の対象となる.一方,A型解離(偽腔閉塞型)と合併症のないB型解離のうち径が40 mm以上のも

急性B 型解離発症後,腹痛の出現または再発があり,かつ腹部分枝のmalperfusion が疑われる場合は,再度CT 検査を行う1363). I C uncomplicated 慢性B 型解離の内科治療中は,定期的な画像診断による連続的評価を行う1050, 1924). I C下行大動脈疾患に対し胸部大動脈から総大腿動脈までのマルチスライスCT (MDCT)による評価を考慮する1925, 1926). IIa C胸部大動脈疾患の急性期サーベイランスでの画像診断としてCT 検査を考慮する1925). IIa C TEVAR 術後のtype I・III エンドリークにはすみやかな侵襲的治療を考慮する658, 1927). IIa C TEVAR/EVAR 術後はCT またはMRI による継続的なサーベイランスを考慮する658). IIa C

大動脈疾患においては,治療手段が内科治療か侵襲的治療(人工血管置換術またはTEVAR/EVAR)かにかかわらず,一生涯のサーベイランスが必要である.そのサーベイランスには臨床症状の評価,内服薬の評価,画像検査による疾患推移の評価,各病勢・病期における治療目標の同定,併存疾患に対する積極的診断と介入,などが含まれる96).

2.1 病期と病態の分類

大動脈解離の病期は,発症から2週間後までを急性期,発症2週間後以降3ヵ月後までを亜急性期,発症3ヵ月後以降を慢性期と,臨床的に分類する.一方,大動脈疾患の病態は,1安定した病勢かつ合併症を伴わない,2安定しない(進行性瘤径増大,慢性的骨盤内・下肢灌流障害,持続性・

再発性症状を伴う合併症併発),3上行大動脈解離に対する侵襲的治療後の残存解離を伴う,の3つに分類される96).

2.2 臨床的病相

臨床的病相は,初発が急性大動脈疾患で慢性疾患に移行するものと,初回診断時に慢性化していたもの(ほとんどは無症状)の2つに分けられる.後者は偶発的に胸部X線検査で縦郭・大動脈弓拡大が発見されることや,他疾患評価目的でのエコー検査やCT検査で発見されることが多い.これらの症例に対しては明確な発症時期を同定することは困難であるが,診断後に,急性・亜急性期に発現する症状,身体・検査所見の確認や評価が重要である.まれにTAAや解離性TAAの進行により,拡大に伴う嗄声・胸