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p.174 抽出テキスト

表67 大動脈疾患慢性期のリスク管理の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

大動脈解離では大動脈関連死亡リスクを抑制することを目的として,有効な降圧薬を投与する276, 1364). I C慢性大動脈解離では晩期における心血管死亡リスクを抑制することを目的として,降圧療法,スタチンによる脂質管理,抗血小板薬投与,禁煙指導を行う1330, 1904). I C uncomplicated 慢性B 型解離にβ遮断薬を長期投与する276). I C大動脈疾患慢性期には厳格な血圧管理(130/80 mmHg 未満)を行う96). I C腹部大動脈瘤の外科手術後は血圧と脂質の管理に加えて,抗血小板薬により心血管リスクを管理する929, 1905–1911). I B腹部大動脈瘤では降圧療法,スタチンによる脂質管理,抗血小板薬による心血管リスク管理を考慮する1905, 1912–1915). IIa B

表68 大動脈疾患のサーベイランスの推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

胸部大動脈疾患のサーベイランスはCT検査により行う69, 143). I C小径の腹部大動脈瘤の診断とサーベイランスはエコー検査を第一選択とする1916–1919).(表22,P. 76 を参照) I B腹部大動脈瘤のサーベイランスは瘤径が30~40 mm 未満では1~2 年ごと,40 ~50 mm 未満では6ヵ月~1 年ごと, 50~55 mm 未満では3~6ヵ月ごとに,エコーまたはCT で行う795).(表22, P. 76 を参照) I B腹部大動脈瘤の破裂の診断と治療方法の決定にCT を用いる1701, 1918, 1920). I C TEVAR/EVAR 後早期(30 日以内)のサーベイランスでは,画像診断によりエンドリーク評価,ステント留置部と接合部などの確認を行う889, 1921–1923). I B

2 サーベイランス

1.2.5 睡眠障害

A型解離の約半数に睡眠障害が認められる1899).睡眠障害は高血圧の発症率を高め1900),冠動脈病変の危険因子になっており1901),心血管系疾患死も多い1902).睡眠障害には不眠症,睡眠不足,閉塞型睡眠時無呼吸症候群(OSAS)があるが,OSASでは吸気時に胸腔内圧が-50 mmHg程度に下がることが影響している可能性がある.無呼吸低呼吸指数(AHI)によるOSAS重症度をみると,解離症例の約半数で高度であった1903).また,下行大動脈の偽腔拡大とOSASの重症度には強い関連があり,通常は1~3 mm/年である大動脈の拡大率が,AHI>30イベント/hの群では7.5 mm/年と上昇した.

1.3 大動脈解離の予防

以上のような大動脈解離発症のリスクを下げるためには,かかりつけ医や総合診療専門医の役割が重要である.まず,高血圧などの背景因子や家族歴のある患者では,大動脈疾患スクリーニングとして,CT検査の機会があれば大動脈全体をカバーすべきである.大動脈瘤の9割以上は偶然発見であり,同様に大多数が偶然発見である肺癌の発見にも役立つ.被曝の問題はあるが,CT検査が広く普及している本邦のメリットを最大限に活かすべきである.心エコー検査を行う機会があれば,大動脈基部だけでなく腹部大動脈もカバーすべきである(「第3章 症状,検査,診断」P. 26~を参照).

次に,血圧の上昇や変動を正確に把握することが必要である.血圧変動は治療可能な危険因子であり,血圧管理による解離発症の予防が重要である.とくに,血圧自己測定によって日内変動を把握すべきである.また,血圧変動に影響しうるスポーツや情動的ストレス,季節・日内変動については,禁煙とともに一般の啓発が必要であり,行政や報道機関も含めた多面的なアプローチが望ましい.

最後に睡眠障害の管理が重要であり,OSASの積極的な診断・治療や一般の啓蒙が必要である.不眠や睡眠不足には仕事のストレスが大きく影響しているため,職場の環境改善やかかりつけ医,広く行政を含めた対策が必要とされる.働き方改革は労働面だけでなく解離発症の回避の観点からも重要と思われる.