p.172 抽出テキスト
2.4.3 中止基準 術後リハビリテーション実施の際には表66の項目に注意し,中止基準に該当する場合には進行を中止,あるいは実施しない. 2.4.4 退院時指導 再発症時の症状や対処法,退院後の日常生活の注意点(血圧や排便の管理,塩分制限,水分摂取の必要性,胸骨保護),および術後合併症(人工血管感染・創感染,輸血による副作用),緊急受診の方法などを,退院に向けて家族も含めて指導する. 外来での収縮期血圧の管理指標を設定し,血圧測定法や時間帯,記録法などを指導する.種々の理由で術後管理が長引き,転院となった場合でも,転院先に適切なリハビリテーションの施行を依頼し,社会復帰を目指す1861). が長期化するとさまざまな合併症が出現するため,早期離床に向けて持続点滴を中止し,バルーンカテーテルなど挿入・装着されているライン類をできる限り少なくする.鎮痛を図り,歩行器使用による歩行練習を開始する. 2.4.1 血圧コントロール 術直後は尿量維持と脳血流維持に配慮するが,なるべく低血圧を目指す.術後ADLの拡大とともに目標血圧値は症例に応じて調整が必要であるが,基本的には安静時収縮期血圧130 mmHg未満に維持する. 2.4.2 運動負荷 座位,立位,病棟内歩行,シャワー,入浴とADLを順次拡大する.通常の歩行のほか,トレッドミル,自転車エルゴメータなどによる運動も行う. 表65 大血管疾患術後リハビリテーションの開始基準 以下の内容が否定されれば離床を開始できる. 1. 低(心)拍出量症候群(LOS)により, 1 人工呼吸器,IABP,PCPS などの生命維持装置が装着されている. 2 ノルアドレナリンやカテコラミン製剤などの強心薬が大量に投与されている. 3 (強心薬を投与しても)収縮期血圧が80~90 mmHg 以下. 4 四肢冷感,チアノーゼを認める. 5 代謝性アシドーシス. 6 尿量:時間尿が0.5~1.0 mL/kg/h 以下が2 時間以上続いている. 2. スワン・ガンツカテーテルが挿入されている. 3. 安静時心拍数が120/min 以上. 4. 血圧が不安定(体位交換だけで低血圧症状がでる). 5. 血行動態の安定しない不整脈(新たに発生した心房細動, Lown IVb 以上の心室期外収縮). 6. 安静時に呼吸困難や頻呼吸(呼吸回数30 回/min 未満). 7. 術後出血傾向が続いている. IABP: 大動脈内バルーンパンピング,PCPS: 経皮的心肺補助表66 大血管疾患術後リハビリテーションの中止基準 1. 炎症・発熱37.5°C以上・炎症所見(CRP の急性増悪期) 2. 循環動態・新たな重症不整脈の出現・頻脈性心房細動の場合は医師と相談する・安静時収縮期血圧130 mmHg以上・離床時の収縮期血圧30 mmHg以上の低下・あらたな虚血性心電図変化:心拍数120/min以上3. 貧血・Hb 8.0 g/dL 以下への急性増悪・無輸血手術の場合はHb 7.0 g/dL 台であれば医師に相談4. 呼吸状態・ SpO2 の低下(酸素吸入中も92%以下,運動誘発性にSpO2が4%以上低下)・呼吸回数 40回以上5. 意識状態・意識・鎮静レベルがRASS≦-3・鎮静薬の増量,新規投与が必要なRASS>2・労作時の呼吸困難:患者の拒否RASS: Richmond Agitation Sedation Scale