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p.168 抽出テキスト

ラムも安全に施行できる1395).リハビリテーション中に状態が悪化し合併症が発生することもあり,合併症を生じた症例ではリハビリテーション進行を中止し,侵襲的治療に関し再検討する.発症時から合併症を有する症例,DIC合併例は,短期リハビリテーションプログラムは適切ではなく,個別に対応する必要がある.短期リハビリテーションプログラムの適応基準を表60に示した.

1.1 急性期から回復期まで

急性期に侵襲的治療を行わなかった症例は,急性期の大動脈解離関連合併症を防ぐため,以前はベッド上安静を7日間続けることになっていたが,現在では循環状態が落ち着き次第,早期に離床するプログラムが行われる1395, 1397, 1819).短期リハビリテーションプログラムの例を表61に示す1395).

リハビリテーションの開始に際しては,血行動態や呼吸状態,意識状態が安定している必要がある.急性期には各種降圧薬の投与により,収縮期血圧を100~120 mmHgにコントロールし,心拍数も60回/min未満になるように調整することが推奨される1270).血圧コントロールを十分行い,積極的に安静度の解除を心掛ける.リハビリテーション開始基準を表62に示した1820).

リハビリテーション進行中に状態が悪化した場合は,リハビリテーションの進行を中止する必要がある.中止基準を表63に示した1821).負荷合格基準は負荷後の収縮期血圧が140 mmHg以下とした.合格しなければ降圧薬を増量し,翌日に再施行とする.せん妄のため決められた安静が守れない場合は,守れる段階のリハビリテーション負荷に

表59 大動脈解離急性期におけるリハビリテーションの推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

内科治療の対象となった急性大動脈解離(主にuncomplicated B 型)において,心拍数・血圧管理下のリハビリテーションプログラムに従った離床と日常生活への復帰を促進することを考慮する1395, 1397). IIa C大動脈解離のリハビリテーションは心臓領域に比してエビデンスに乏しく,リハビリテーション施行の方法・効果(評価)とも定まったものがない.本項では保存的治療の適応となる大動脈解離,すなわちuncomplicated B型解離について述べる.急性期に侵襲的治療(TEVARまたは人工血管置換術)を行った症例については周術期リハビリテーションの項(P. 170)に譲る.

急性解離に対する標準化されたリハビリテーションの報告は少なかったが,平成14(2002)年度厚生労働省科学研究費の効果的医療技術の確立推進臨床研究事業の援助のもと,多施設で急性大動脈解離の具体的な医療手順に関する研究の一環として,入院後の診断の治療の標準化と早期離床に関するリハビリテーションプログラムを作成し,クリニカルパスを臨床導入した1818).急性解離における急性・亜急性期合併症(破裂・切迫破裂,臓器虚血,コントロール不能の高血圧,拡大したあるいは急速拡大)は病型や病態により予後が異なるため,1つのリハビリテーションプログラムで対応することは困難である.大動脈解離合併症を起こす可能性の低い病態は,より短期のリハビリテーションコースが推奨される.早期離床により肺炎や薬物の使用を要する不穏が減少することから,低リスクの症例は積極的に離床を進めることによりICU滞在日数や入院日数の短縮が望め1397, 1819),さらに短期のリハビリテーションプログ

1 大動脈解離のリハビリテーション

第9章 リハビリテーション

表60 大動脈解離の短期リハビリテーションプログラムの適応基準急性 B 型解離の症例で・破裂,切迫破裂ではない・malperfusion(分枝灌流障害)がない・痛みのコントロールができている・血圧,心拍数のコントロールが達成されている・大動脈径の拡大(胸部大動脈瘤合併)がない・DIC(播種性血管内凝固症候群)の合併がない