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迫による無気肺からの気道出血との鑑別は画像診断では困難なことが多い.このような場合,気管支鏡検査が薦められるが,その侵襲度は低くない.また,瘻孔を直接視認できれば確定診断となるが,末梢型の場合は診断が困難であることから,ABFの内視鏡検査にはAEFの場合ほどの有用性はない.呼吸状態が悪化するような気道出血がある場合は,確定診断に時間を割くよりも,早期に瘤切除,気管支瘻閉鎖術を行うべきである. 8.2.4 治療 AEFと同様に保存的治療の成績は悪く,大動脈瘤切除,ステントグラフト摘除,気管支瘻閉鎖もしくは肺切除が標準的な治療である.治療成績はAEFと比較すると良好である.気道の環境は食道内部と比べて常在菌叢が少なく,食道のような再建を必要としないことなどがその理由である.また,TEVARのみで治療できる症例も存在する. Canaudは134例のTEVAR治療のメタ解析で,30日死亡率5.9%,18ヵ月後の大動脈関連死亡率14.3%,ABF再発率11.1%と良好な成績を報告した1781).CzernyはEuropean Registry of Endovascular Aortic Repair Complications (EuREC)でのTEVAR後ABFの26例を検討したが,経過観察5例,肺気管支手術のみ2例,TEVARのみ9例,ステントグラフト摘除と肺気管支手術,in situ大動脈再建8例であった1778).2年後の生存率は積極的治療群で63%であり,姑息的手術の21%より良好であったと報告している. 以上のごとく,ABFはAEF同様に早期の根治的手術が原則であるが,症例によってはTEVARも選択肢の一つである. 8.3 食道癌・肺癌の大動脈浸潤に伴う 大動脈瘻 食道癌や肺癌の大動脈浸潤に伴う一次性大動脈食道・気管支瘻に関しては,TEVARは適応外使用であるが,破裂防止による延命(救命)措置としてのTEVARが新しい試みとして注目されている1801).放射線治療や化学療法に伴う大動脈食道・気管支瘻の破裂が危惧される症例に対して,一次性大動脈食道・気管支瘻または癌の浸潤部位に一致してTEVARを先行させて瘻破裂の防止策をとったうえで,放射線治療や化学療法を行うといった選択肢がある.しかし,TEVARの適応外使用を含めて,施設ごとの判断で行われており,症例数が限られ,全国レベルでの調査研究もなく,治療成績については明らかでない. から下行までの広い範囲の大動脈に対して使用することが可能である911, 1013).AkashiらはAEFの予後改善のうえで有茎大網の有用性を報告している126). g. 術後抗菌薬 術後の強力な抗菌薬治療が必須である.起炎菌に合わせた抗菌薬を静脈内投与し,炎症反応の陰性化を目標に4週間から8週間は継続する.その後,抗菌薬は中止して問題ないとする報告もあるが1001),一方で生涯にわたり経口の抗菌薬を投与すべきとする報告もある998, 1006). h. 食道再建術 感染の完全な制御と全身の栄養状態の改善を待って行うため,大動脈血行再建術の数週間~数ヵ月後に施行されることが多い.食道の代用としては,胃管作製,結腸導管などがある.縫合不全や縫合部狭窄を懸念して,胸骨前や胸骨後のルートに作製することが多い. AEFは死亡率の高い疾患であるが,迅速に術前診断を行い,早期に侵襲的治療を行うことが救命率の向上につながると考えられる. 8.2 大動脈気管支瘻 8.2.1 概念 大動脈気管支瘻(ABF)は1914年にGirardetが初めて報告した1799).以後,症例報告が数多くなされてきたが, ABF単独での報告よりもAEFと一緒に報告されることが多く,臨床上も両者が合併することはまれではない.ABFも発生原因から一次性,二次性に分けられることが多く1781),また,瘻の気道での存在部位から中心性と末梢性に分けられることもある1778). 8.2.2 疫学 発生率はさまざまであるが,AEFと大差なく,0.3~5%である.von Segesserらは胸部下行大動脈・胸腹部大動脈瘤手術145例中8例(5.6%)にABFが発生したと報告した1800).ABF発生もTEVAR普及と並行して増加している. TEVAR後のABF発生率としてLuehrは0.5% 1782),Chiesaは0.4% 967),Czernyは0.6% 1778)と報告している.ABFの発生機序はAEFとは違い,ステントグラフトの圧迫や瘤破裂による穿破がほとんどである. 8.2.3 診断 初発症状として発熱,喀血または飲み込んだ喀血の吐血が多く,CT検査で肺浸潤影を認めることが多い.大きな血腫が肺内に存在すれば診断は容易であるが,瘤の圧