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p.163 抽出テキスト

7.3 頚部大動脈弓

まれな先天性大動脈疾患である.胎生期に第4鰓弓から大動脈弓が形成される際の発生異常で,より高位の鰓弓が残存することが原因である.Mullinsら1774)は大動脈弓の頂点が頚部に存在し,大動脈弓部分枝の起始異常を伴い,下行大動脈の走行異常を伴うものと定義しているが,大動脈弓の頂点が鎖骨より頭側に達すれば該当すると定義しているものもある(図84).拍動性の頚部腫瘤として触知されることや,気道や食道の圧迫症状を呈することがある. Haughton 1775)は大動脈弓の形状と弓部分枝の配列によりA ~Eの5型に分類しているが,type D(正常頚部分枝を伴う左頚部大動脈弓で,余剰の大動脈弓部と,ときに低形成の左下行大動脈を認める)の手術の報告がある1776, 1777).

表57 大動脈食道瘻,大動脈気管支瘻の治療の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

食道癌や肺癌の大動脈浸潤に伴う大動脈破裂に対する救命措置としてTEVAR を行う1778). I C大動脈食道瘻,大動脈気管支瘻による大量出血時,または大量出血が危惧される場合,大量出血を防ぐため可及的すみやかにTEVAR を行うことを考慮する1779). IIa C

8 大動脈食道・気管支瘻

とがある.そのため早期の侵襲的治療が必要で,in-situ,非解剖学的バイパス術の適応となる1770).近年,ステントグラフト治療の有効性,安全性の報告もある1771).

偽性大動脈縮窄症は,subclinical form of coarctationとしてSoudersらにより最初に報告され1772),形態的特長によりkinking or buckling of aortic archと呼ばれることもある,胎生初期に発生する先天異常である.Gayらの診断基準は,左上縦隔の異常陰影,上下肢の圧較差<25 mmHg,側副血行は認めない,弓部大動脈から下行大動脈起始部の延長,をあげている1773).また,弓部大動脈の位置は高く,大動脈峡部で大動脈は捻れていることがある.瘤形成を認める場合には治療対象となる.

なお,先天性に対して,大動脈炎症候群(高安動脈炎/脈なし病)による狭窄は「異型大動脈縮窄症」と呼ばれる.

図83 大動脈縮窄症

図84 頚部大動脈弓右鎖骨下動脈瘤動脈管遺残瘤

左鎖骨下動脈起始部憩室

左椎骨動脈