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動脈損傷に対しては,SG治療を考えるべきである96, 1750).大動脈損傷は多発外傷の一つであることが多く,体外循環を用いた外科手術はリスクが高い1752–1754).一方,SG治療は体外循環を必要とせず,治療後にすみやかに他の合併外傷の治療を行うことができるため,治療成績を著しく向上させてきた1755–1758). 致死的な破裂が早期(24時間以内)に起こるためすみやかに治療すべきとされてきたが,type Iの場合などでは全身状態が安定してから治療するほうがよいとする報告もある.破裂や内膜損傷の程度などによりリスクを判断し,SG内挿術の施行時期を遅らせたり,非侵襲的治療を選択したりすることも有用である1751, 1759–1763). SGに関連する合併症が多いことから,改良が行われてきた1750, 1754).本邦においても1機種が外傷性大動脈損傷に対して保険適用になっている. 7.1 Kommerell憩室 7.1.1 概念,病因 1936年にKommerellは,右鎖骨下動脈の起始異常を合併し,左側大動脈弓から下行大動脈にある憩室により食道が圧迫され嚥下障害をきたした症例を報告した1764).現在ではKommerell憩室は,「鎖骨下動脈の起始異常を伴う大動脈弓で近位下行大動脈に認める憩室」と定義されている.胎生期に大動脈弓部分枝の発生異常に起因して,左側大動脈弓,右側大動脈弓,鎖骨下動脈起始異常,Kommerell憩室が形成される500).出生に対し,左側大動脈弓かつ右鎖骨下動脈起始異常0.7~2.0%,右側大動脈弓かつ左鎖骨下動脈起始異常0.04~0.4%であり1765),それらの20~ 60%がKommerell憩室瘤を形成する(図82-A). 7.1.2 症状 小児期例では憩室瘤による直接的な圧迫や憩室瘤が形成する血管輪により症状を呈する.主な症状は気道狭窄による呼吸障害である.成人例の多くは無症状であるが,ときに嚥下障害,胸痛,上肢血圧の左右差を認める.無症状の症例も近年の画像検査の進歩により偶発的に発見されるようになった.成人期には瘤の破裂や大動脈解離を発症することがあるが,自然経過についての報告はない. 7 先天性大動脈疾患 6.2 画像診断 胸部X線検査では上縦隔開大,大動脈隆起の消失,左血胸,apical cap,第1・第2肋骨骨折,気管右方偏位,左主気管支下方偏位,胃管の右方偏位などの所見がみられるが,偽陰性の症例も存在する112). CT検査は迅速に施行可能で再現性が高く,感度,特異度とも100%に近いため,本症が疑われる場合には必須の検査である.胸部大動脈損傷のCT所見は,大動脈峡部に壁の薄い嚢状大動脈瘤を形成し,しばしば周囲に血腫を伴う(図81).大動脈解離や壁内血腫を伴う場合には,急性大動脈解離と同様の所見を呈するが,その範囲は限局的であることが多い.また,縦隔血腫,血胸を認めることがある.multi-planar reconstruction(MPR)などの3次元CT画像はステントグラフト(SG)による治療を行う際の術前評価に有用である. 一方,血行動態が不安定でCT検査が困難な場合は,ベッドサイド経食道エコー検査が有用である.大動脈損傷のみならず右室,右房,三尖弁などの損傷,下大静脈内血栓など,随伴した病態も同時に評価できる利点もある.ただし,経食道エコー検査により食道損傷をきたした症例もあり,注意すべき重大合併症である. 6.3 侵襲的治療 交通事故や墜落による大動脈損傷は,事故現場での致死率が80%以上とされ,多発外傷を伴うことも多いが,生存して搬送されれば救命できる可能性も高くなってきている.type I(内膜損傷),type II(壁内血種),type III(仮性瘤),type IV(破裂)に分類される1749).大動脈峡部に起こることが最も多く,峡部や下行大動脈に発生する外傷性大 図81 外傷性大動脈瘤a,bともに胸部下行大動脈に嚢状瘤を認め(↑),外傷性大動脈瘤が示唆される. a 造影 CT b 造影 CT MPR 像