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完了させるという基本的な考えがある1706, 1707).一方,大動脈遮断と遮断解除操作によるdebrisの飛散が血栓塞栓症の主因と考え,超低体温循環停止法を行い,大動脈遮断を行わない方法も,shaggy aorta対策として採用されることがある1708).しかし,その場合でも体外循環を確立するまでの過程において,送血管のカニュレーション部位とカニューラの形状,上下半身送血間の流量バランスなど,体外循環法の詳細について留意する必要はある1697). 4.1 定義,分類 4.1.1 炎症性大動脈疾患 血管炎の分類は,Chapel Hill Consensus,CHCC(1994年初版1709),2012年改訂1710))が世界的な共通認識で,日本循環器学会の「血管炎症候群の診療ガイドライン(2017年改訂版)」1711)でもこれに準じて,大型血管炎(大動脈とその主要分枝),中型血管炎(臓器動脈),小型血管炎(細・小動脈,毛細血管)とその他の血管炎に分類されている(表54).また,2014年にESCから大動脈疾患の診療ガイドラインが発表され96),続いて病理組織診断の新たな疾患概念に基づいた疾患分類が示された1712). 4.1.2 高安動脈炎 日本人眼科医,高安右人が眼病変として1908年に初めて報告した疾患で,欧米でもTakayasu arteritisと呼ばれている(図68,69).大動脈の分枝血管の狭窄病変による「脈なし病」とか,大動脈全体に病変が広がるため「大動脈炎症候群(aortitis syndrome)」と呼称されることもあった.本邦を中心に東洋の若年女性に多いのが特徴で,欧米ではまれな疾患である1710). a. 肉眼像 典型例では血管内腔の狭窄病変から始まる.特に大動脈弓の分岐部分から上行する3分枝の血管が侵されやすく,狭窄部位によっては鎖骨下動脈盗血症候群など頭部や上肢虚血症状の原因となる.病変は弓部の主要分枝血管,さらに下行大動脈内にも進行していくが,上行大動脈では拡張傾向となり,上行大動脈瘤と大動脈弁閉鎖不全をきたす.大動脈弁輪部から大動脈弁に炎症が波及するのは自件例で約5%である1713).まれではあるが,大動脈解離をきたす 4 大動脈炎 また,TAAA人工血管置換患者251例の報告によれば,解離性大動脈瘤139例を含む全症例の中でshaggy aortaを有するのは36例(14%)であった1702).shaggy aortaを有しない76例とshaggy aortaを有する36例,合計112例の変性性大動脈瘤手術患者を比較すると,shaggy aortaを有する患者群において,手術死亡率が約5倍,SCI発生率が約4倍に増加していた1702).同様に弓部大動脈人工血管置換患者179例を対象とした臨床研究によれば,上行または弓部大動脈にshaggy aortaを有していた患者は34例(19%)であった1703).それらの患者の手術死亡率には統計学的に有意な増加はみられなかったものの,一時的脳神経障害発症に関与する危険因子としてのshaggy aortaのオッズ比は4.4であった.さらに,shaggy aortaを有する患者群では弓部置換術後の遠隔期生存率が有意に低いとの結果が示されている. 近年shaggy aortaのスコアリングを行った報告もあり,この報告では再構築したCTの軸位像で,1潰瘍様血栓を有し,2最大血栓の厚さが5 mm以上で,3大動脈径2/3周以上を血栓で占拠される場合にshaggy scoreを1点とスコアリングしたもので,今後の術後塞栓症の指標となることが期待されている1704). shaggy aortaを有することによる大動脈瘤手術治療成績の悪化は,手術時における多発性血栓塞栓症の併発が主たる要因と考えられる.そのため,手術成績向上のための工夫として術中血栓塞栓症を回避する方法が考案されている1705).弓部大動脈人工血管置換術時の脳塞栓の回避,また,胸部下行~胸腹部の大動脈瘤に対するTEVAR時の腸管や腎臓への塞栓による重篤な合併症を回避するために,それらの支配血管をあらかじめ露出して,大動脈内の循環から一時的に分離させた状態とし,大動脈への手術操作を 図67 典型的なshaggy aorta(造影CT 所見,前額断像)胸部大動脈内に存在する不整形で,びまん性の粥状硬化病変が広範囲にみられる.