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るとの報告もある.診断は上記原因遺伝子の変異確認によって行われるが,新生突然変異や低浸透率に注意すべきである. ACTA2遺伝子は,血管平滑筋αアクチンをコードする遺伝子であり,非症候群性家族性TAAの約15%はこの遺伝子の変異により発症する1552).本邦の解析でも,50歳以下で発症した若年性の非症候群性家族性TAA患者の約20%で同遺伝子の変異が同定されている1557).また,ACTA2遺伝子変異を有する家系では,冠動脈疾患やもやもや病などの脳血管障害の合併が多い.もやもや病などの脳血管障害の合併1555)は特定のACTA2遺伝子変異の特徴とされている.大動脈病変の浸透率は48%とMarfan症候群に比べると必ずしも高くないが,20歳以下や若年での解離例の報告も少なくないことに注意する必要がある.これらの症例の診断はACTA2遺伝子の解析による. 一方,MYH11遺伝子は,平滑筋ミオシン重鎖をコードする遺伝子であり,TAA症例でこの遺伝子の変異が報告されている1553).この遺伝子変異によるTAAの特徴は,動脈管開存症を伴うこととされるが,報告症例は少ないため,疾患の全容はまだ明らかになっていない. 1.3.2 大動脈二尖弁 大動脈二尖弁(BAV)は先天性心血管構造異常のなかで最も多くみられるもので,全出生の1%弱にみられる1558).左冠尖と右冠尖の融合が7割以上,右冠尖と無冠尖の融合が1~2割,左冠尖と無冠尖の融合は1割以下である.二尖弁では正常弁に比べて大動脈拡大がみられやすい.動脈径拡大は早期と報告されるが,疫学的な検討は不十分である.左冠尖と右冠尖の融合の場合に大動脈縮窄を合併し,大動脈縮窄を伴うBAVでは大動脈瘤や解離の合併が高率となる. 一部のBAV患者でNOTCH1遺伝子の変異1559)が報告され,その場合は常染色体顕性遺伝(優性遺伝)として家系内に二尖弁が検出される.未同定の原因遺伝子もあるとされる.BAVは心エコー検査により検出され,MRIまたはCT検査により大動脈疾患が診断されるが,遺伝子検査によりNOTCH1遺伝子の変異が見いだされて診断されることもある. 1.4 遺伝子診断 1.4.1 臨床的意義 原因遺伝子が明らかになっている遺伝性大動脈疾患は, Marfan症候群などの遺伝性結合織異常による全身性疾患 遺伝子の変異1547)による.血管所見(大動脈や中動脈の蛇行,延長,瘤形成)と特徴的顔貌,皮膚所見,骨格所見とSLC2A10遺伝子の異常により診断されるが,未知の遺伝子の変化によることも考えられる. 1.2.5 その他の遺伝子変異関連疾患 Loeys-Dietz症候群に類似の身体所見を有する大動脈疾患患者でX染色体連鎖性遺伝形式をとるBGN遺伝子変異1548)の報告,COL1A1遺伝子またはCOL1A2遺伝子の変異を認める骨形成不全症1549)での大動脈疾患,Ehlers- Danlos症候群様の身体所見や僧帽弁疾患などを示す大動脈疾患患者でX染色体連鎖性遺伝形式をとり,異所性灰白質症を伴うFLNA遺伝子変異1550)の報告があり,これらの遺伝子変異が大動脈疾患の病因と考えられている.診断はそれぞれの臨床所見と当該病因遺伝子変異の同定によるが,現時点で未同定の病因遺伝子もあると考えられる. 1.2.6 Turner症候群 X染色体すべて,または一部のモノソミー(欠失)によって生じる疾患である1551).患者(女性)は低身長,種々の心構造奇形,大動脈疾患,代謝内分泌系の変化による肥満,耐糖能異常,脂質異常,卵巣機能異常を呈する.12%に大動脈縮窄による高血圧,30%に大動脈二尖弁,75%に心構造奇形を認める.大動脈解離の発症率は対照の100倍にもなる.心血管系変化についての病因遺伝子の解明はいまだなされていない.診断は上記の特徴的臨床所見と染色体検査(X染色体モノソミーまたはX染色体の一部の欠失)によって行われる. 1.3 非症候群性遺伝性大動脈疾患 1.3.1 家族性胸部大動脈瘤・解離 家族性胸部大動脈瘤・解離は常染色体顕性遺伝(優性遺伝)形式をとるが,浸透率は高くなく,新生突然変異により発症する場合を含め,遺伝性・家族性が不明瞭なこともある.既知の原因には,血管平滑筋収縮蛋白質をコードする遺伝子(ACTA2,MYH11,MYLK) 1552–1554)の変異が含ま れる.ACTA2遺伝子変異による場合,冠動脈疾患,脳血管障害やもやもや病に似た脳動脈奇形1555)を呈する症例もある.MYH11遺伝子変異による場合は動脈管開存を伴う症例1553)もあり,MYLK遺伝子変異による場合は動脈径拡大を伴わず解離を発症する症例がある.また,血管平滑筋弛緩に関係するcGMP依存性蛋白キナーゼをコードするPRKG1遺伝子の変異1556)により大動脈瘤・解離を発症す