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p.126 抽出テキスト

換術に加え,FETが併施されることが多い.FETによる肋間動脈閉塞,あるいは偽腔血栓化に伴う肋間動脈閉塞がSCIの原因と考えられる.術後に発生する遅発性SCIも報告されている1408).手術範囲が下行大動脈から胸腹部大動脈の広範囲に及ぶ症例でSCIの発生率が上昇する1445). JCVSDの2015年の年次報告で,慢性大動脈解離手術でのSCIの発生率は,外科手術1.5%,ハイブリッド手術7.1%であった711).ハイブリッド手術の多くはFET併施であり,慢性B型解離においてもFETに伴うSCIには常に留意が必要である.

3.4.2 血管内治療

慢性B型解離において,弓部に対する手術操作と,横隔膜を挟んだTAAAに対する手術操作が必要となる場合,一部または全部にステントグラフト(SG)を用いて低侵襲化を図ることがある.A型(DeBakey I型)解離に対する上行置換術や部分弓部置換術が行われた後に弓部に解離が遺残している場合も同様である.A型解離に対する上行置換術や部分弓部置換術の末梢側吻合部でのリークの場合,弓部または弓部分枝内にentryが残存している場合,胸骨正中切開による近位下行大動脈内のentryの切除が可能な場合に,全弓部置換術が施行される.この際,ETまたはFETを留置しておけば,後の下行大動脈病変に対するTEVARに利用できる.

一方,近位下行大動脈のentryはTEVARによる閉鎖が可能であり,弓部分枝を閉塞する場合には,一般的にはバイパス術を先行させるハイブリッド治療が選択される.一部,分枝付きSGを用いたTEVARの報告もある.したがって最近になり,初回手術において単純な上行置換術や

hemiarch置換術ではなく,腕頭動脈のみや腕頭動脈と左総頚動脈を置換する部分弓部置換術の選択が推奨されてきている.この場合,後の同様の問題に対し全弓部置換術の必要はなく,ハイブリッド治療で解決できるという利点がある.

胸骨正中切開ではentryに到達困難な場合には,逆に弓部分枝バイパスの必要がなく,単純TEVARによるentry閉鎖が可能である.ただ,中枢側landing zoneが解離している場合が多いため,解離フラップの損傷の懸念があり, SG径は少なめのオーバーサイズが望ましい416).

TAAAに対し,分枝付きSGを用いることで完全血管内治療が可能であるが,デバイス自体が本邦では保険承認されていないため,腹部分枝バイパス術を併用してTEVARを施行するハイブリッド治療の適応となる.また,SGに人工血管を吻合する場合,SG単独に吻合することも可能であるが,SG周囲の大動脈壁とともに吻合することで,出血を防止しSGを安定させることができる1446).SGは自己拡張型ステントが用いられているので,鉗子による遮断を解除すれば再度拡張する.

上記の治療を組み合わせて行うことになるが,弓部に対する人工血管置換術と下行・胸腹部に対するTEVARは段階的に行われるのが一般的である.弓部,下行,胸腹部の完全血管内治療や腹部分枝バイパス術を併用した下行・胸腹部のTEVARによるハイブリッド治療を一期的に施行することは可能であるが,SGの留置長が長いことや,出血など血行動態悪化によるSCI,腹部分枝バイパス術の侵襲などを勘案し,一期的に行うか段階的に行うかを慎重に検討する.

第7章 大動脈手術に伴う諸問題

上行大動脈置換や弓部大動脈置換の際にopen distal

1 脳保護techniqueを必要とする場合,あるいは左開胸下からの遠

位弓部大動脈へのアプローチの際にopen proximal techniqueを必要とする場合,補助手段としての脳保護を実施する必要がある.超低体温循環停止法のみでも脳保護は可能595)だが,単独では時間的制約がある.特に,全弓部大動脈置換においては長時間の脳保護を必要とするた