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p.119 抽出テキスト

血圧コントロールに加えて脂質低下療法や糖尿病のコントロール,禁煙といった動脈硬化危険因子に対する内科治療を念頭に置き,慢性期への管理につなげる.

3.2 慢性

3.2.1 手術適応と術式選択

表42 慢性Stanford B 型大動脈解離の侵襲的治療の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

最大短径≧60 mm の症例に侵襲的治療を行う1330). I C慢性期のULP 型やDeBakey IIIa 型にTEVAR を考慮する. IIa C慢性期のDeBakey IIIb 型に外科手術を考慮する402, 1399, 1400). IIa C外科手術が困難なDeBakey IIIb 型にTEVAR を考慮する. IIa C慢性期のDeBakey IIIb 型にTEVAR を考慮してもよい1400, 1401). IIb C a. 適応

preemptive TEVARのウィンドウ期間を過ぎたB型解離慢性期における手術の多くは,拡大・瘤化後の破裂防止目的で実施されている.したがって,その適応基準は非解離性大動脈瘤に準じるのが妥当と考えられる.実際には,これに年齢,自覚症状の有無,COPDの有無,体格,拡大速度,遺伝的背景などを勘案して個別に判断されるが,大動脈解離では非解離性大動脈瘤より拡大速度が速いとされるため,留意が必要である.

2010年の米国ガイドラインでは,胸部下行大動脈瘤の手術適応は55 mmとされ,TAAAの60 mmとは区別されているが,解離と非解離の区別はされていない95).慢性B型解離の手術では,下行大動脈置換術であっても半数強で手術侵襲が大きい超低体温循環停止が必要とされることや,弓部+下行大動脈置換術の早期成績は本邦の集計でも胸腹部大動脈置換術とほぼ同等の水準であることを考慮すると,慢性B型解離の手術適応はTAAAに準じるのが妥当と考えられる.

一方,2014年の欧州ガイドラインでは,非解離性胸部下行大動脈瘤の適応はTEVARで55 mm,外科手術(人工血管置換術)では60 mmとされた96).しかし,慢性B型解離を対象とした場合,TEVARは外科手術より早期成績は良いものの,5年生存率に差は認めず,追加治療回避率は

カイン血症が関連している.体位変換だけでなく,シベレスタット投与などにより呼吸器合併症の回避に務める.

4安静度:破裂や解離の進展の可能性が高いとされる24時間以内は安静を必要とする1395, 1396).その後の安静・解除については,第9章の「1. 大動脈解離のリハビリテーション」(P. 168)を参照のこと.しばしば問題となる,高齢者を中心とする不穏やせん妄の合併も,過度の安静や絶飲・絶食に関連している可能性がある.合併症のリスクが低い症例においては,早期のリハビリテーションによる離床によってせん妄が減少したとの報告もあり,解離の重症度に応じて対応する必要がある1395, 1397). ii. 画像診断によるフォローアップ

初回診断後1週間以内での再CT検査が望ましい.初期診断時にuncomplicated急性B型解離と診断された後に,数日から数週の経過で大動脈径の急激な拡大や,解離の進展,再解離に伴うmalperfusionが起こることがあり,病態の悪化が疑われる場合はすみやかに再度CT検査が必要となる.また,malperfusionにより腎虚血をきたした場合,腎機能低下や治療抵抗性の高血圧を招くため,CT検査と血管エコー検査による血流評価を考慮する.腸管虚血は破裂と並んで死因として最も多いとの報告もある1192).腹痛や腹部膨満に対する注意が最も重要であるが,腹部X線写真でのガス像の評価に加え,定期的な血液ガス検査で乳酸値の上昇を認めた場合は,腹部臓器虚血を疑い,CT検査や血管エコー検査を行う.

CKD合併例や解離発症後に腎障害を合併した症例では,頻回の造影CT検査により造影剤腎症のリスクが高くなるため,全身状態の変化やmalperfusionを疑う所見がなければ,必ずしも造影CT検査の必要はない.逆に,malperfusionが疑われる症例,特に腸管虚血例では早期の治療介入により生命予後が改善されるので,造影CT検査を躊躇すべきではない.慢性期における大動脈関連事象の危険因子として,急性・亜急性期の大動脈径≧40 mm,偽腔径≧22 mm,偽腔の部分血栓化などの画像所見が報告されており396, 1025, 1398),該当症例またはそれに近い症例においてはより注意深い画像検査でのフォローが必要である. iii. 急性期以降の薬物治療

超急性期(24時間以内)を乗り切った急性期における問題は,血圧・心拍数の管理と安静度の解除,せん妄や呼吸不全への対応などである.血圧管理は100~120 mmHgを基準とするが,尿量減少など灌流圧の低下による腎機能障害などが生じる場合は,目標血圧値を上げざるをえないことがある.また,高齢者を中心に動脈硬化を背景として発症した急性解離症例では,手術症例においても内科治療のみの症例においても,遠隔期の心血管イベント抑制のため,