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p.118 抽出テキスト

内治療が発達した現在においても,uncomplicated typeに対する内科(保存的)治療の急性期死亡率は2.4~6.3%と報告されており,TEVARの6.6~7.1%に比し同等あるいはやや良好であるため393, 1272, 1390),uncomplicated typeに対しては内科治療が急性期の標準治療とされている.しかしながら,発症1年後以降の慢性期においては急性期TEVARの生命予後が内科治療を上回るとされ393, 1390, 1391),今後この領域においてもRCTが望まれる.

1心拍数と血圧の管理:急性期において回避すべきは,破裂やmalperfusionによる臓器不全,解離の進展や再解離であり,血圧,心拍数,疼痛などのコントロールと安静が重要である.急性B型解離と診断された後,最初に行うべきは心拍数と血圧のコントロール(dV/dt,dP/dtの低減)であり,目標心拍数は60回/min未満,目標収縮期血圧100~120 mmHgとされており,迅速な調整が推奨される96, 275, 532, 1270, 1288).循環動態のモニターとしてモニター心電図,末梢動脈圧ライン,中心静脈ラインが準備され,このモニタリング下で,臓器血流が阻害されない範囲で目標とする心拍数・血圧値が得られるよう,細かい調整を行う.急性期に心拍数を60回/min未満にコントロールすることで,遠隔期の大動脈関連イベントを低減できるとの報告もあり1270),禁忌がないかぎり早期にβ 遮断薬の静注にて心拍数60回/min未満にコントロールすることが推奨される1206, 1269, 1365–1367).β 遮断薬が使用できない場合は,非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬により心拍数コントロールを行い,心拍数コントロールの後に血圧120 mmHg以下を達成できない場合は他のCa拮抗薬やACE阻害薬,ARBなどの降圧薬を併用することで,血圧をコントロールする.

超急性期は静注剤による血圧,心拍数のコントロールが調節性に優れているため推奨されるが,発症1日目以降はβ 遮断薬の経口剤あるいは貼付剤を開始,併用してもよい.ニカルジピンの経静脈投与を行う場合には,長期かつ大量に使用すると反応性の頻脈,静脈炎の合併や麻痺性イレウスの発生が報告されており1392–1394),早期に内服併用を心がける.

2疼痛の管理:降圧と同時に,持続する痛みに対しては迅速に鎮痛,鎮静を図り,反応性の心拍数・血圧の上昇を抑える.適切な静注オピオイドによる鎮痛で心拍数や血圧のコントロールが容易となる.

3発熱・炎症,サイトカイン血症,呼吸不全への対応:急性大動脈解離に伴い,全身性炎症反応(SIRS)が起こりCRPが上昇する.急性解離関連の呼吸不全は大動脈周囲の炎症に伴う胸水と臥床による無気肺などが関与しているが,炎症反応が高度になるとSIRSを呈し,急性の肺障害を合併することがある.これには大動脈解離に伴うサイト

位置は微妙に異なるが,病態としては同様であり,区別する必要はない.このnew entryがもともとの偽腔につながれば初回治療前のdouble barrelとなるが,まれに新たな解離となり三腔解離となるものもある.発生率は7.9%程度で,発生に関与する因子は,治療のタイミング(急性4.3%,慢性12.9%),SG オーバーサイジング(ポジティブ因子), restrictive bare stent(PETICOATステント)の使用(ネガティブ因子)などである1349, 1383–1386).初回治療がpreemptive TEVARの場合,新たなtearが原因で意図した偽腔の縮小が得られない結果に陥るため,早期の追加治療(大部分は追加TEVAR)が必要である1387).

6エンドリーク:タイプI ~IVは胸部大動脈瘤に対するTEVARと同様であるが,double barrel症例ではSGによるentry閉鎖後,re-entryから偽腔内に血流が吹き上がることがあり,これをre-entry flow(false lumen retrograde flow)としてエンドリークと区別する(P. 56,図52 のB).このre-entry flowは偽腔部の拡大・拡大傾向の原因となるため,追加治療を要する1306). c. 外科手術

uncomplicated急性B型解離の治療原則は内科治療であり,外科手術の適応はない.INSTEAD XL試験1287)の結果が報告されて以降,亜急性期に症例を選んで先制攻撃の(preemptive)TEVARが行われるようになってきている.しかしながら,これはあくまで低侵襲のTEVARが前提の適応であり,それなりの侵襲を伴う外科手術に該当するものではない.一部の施設で,弓部に逆行性解離が進展している症例を対象に,preemptiveな全弓部大動脈置換+ FET手術が行われているが,かかる治療の妥当性はリスクとベネフィットの比較により検証される必要がある.

ただし,解離自体はuncomplicated typeであっても,真性大動脈瘤に解離が合併した場合は破裂のリスクが高まるため,例外的に扱う1388).この場合,complicatedの一種と考えることもできるが,急性期治療を推奨するエビデンスはない.症状や画像所見を中心に注意深く経過観察を行い,至適時期に侵襲的治療を行う.解剖学的状況などから外科手術の適応となる症例もあり,弓部大動脈瘤合併例ではFET手術も選択される. d. 内科治療i. 初期治療

uncomplicated急性B型解離には初期治療として内科治療が選択されてきた.これは,心臓や脳の続発症を伴いやすいA型と異なり,破裂やmalperfusionなどの生命を脅かす合併症の発症率自体が低いこと,侵襲的治療の必要性も低いこと,外科手術に比べ内科治療の成績が良好であったことが根底にある1389).TEVARを中心とした低侵襲の血管