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p.110 抽出テキスト

成績(生命予後)が優位であったが,5年のフォローアップでTEVARが優位となった1287)ことより,すべての偽腔開存型B型解離がTEVARの適応であるとは言い難い.現在のエキスパートによる推奨では,内科治療のみでは数年後に偽腔拡大・瘤化が予測される症例(表39)

385, 399, 400, 1279, 1287–1291)

がTEVARの適応となる.(本章の「3.1.3. uncomplicated」P. 116の表41を参照).

一方,偽腔拡大・瘤化をきたした慢性B型解離に対するTEVARの適応はエビデンスが乏しく,本治療を外科手術と同等として推奨するには至らない.entryのみを閉鎖しても拡大した偽腔の縮小が得られず,さらに拡大が続き破裂のリスクを減じないことも報告されており1279, 1301, 1302),外科手術と同様の結果が期待できるものではない402–405, 1279).胸腹部,腹部・腸骨動脈領域に残存するすべてのentry,reentryを閉鎖でき,complete exclusionに持ち込むことができれば,偽腔が縮小して,手術と同等の効果が得られる可能性がある1303).また,candy plug法1304),ニッカーボッカー法1305),コイルや塞栓剤を用いた偽腔塞栓1306),などの

3  慢性期の偽腔瘤化を伴う病変(解離性大動脈瘤)に対

するTEVAR. 1は急性・亜急性期に発症する合併症(破裂,malperfusionなど)に対するTEVARで,本章の「3.1.2. complicated」(P. 111)の表40を参照されたい.2は将来の偽腔拡大を予防することを目的としたTEVAR(preemptive TEVAR)で,3は偽腔が拡大・瘤化した慢性B型解離症例に対して破裂を防ぐことを目的としたTEVARである. 2と3の適応を考えるうえで,2のpreemptive TEVARは内科治療によるサーベイランスとの比較が,3の瘤化症例に対するTEVARは手術との比較が必要であるが,2に1つのRCTによるエビデンス1287)があるのみで,3にはエビデンスがない.

preemptive TEVAR(偽腔の拡大予防を目的としたTEVAR)の適応は,INSTEAD試験1287)の結果を受け,発症1年以内の慢性B型解離が対象となる.INSTEAD試験は発症後1年以内の胸部偽腔開存・慢性B型解離症例に対する介入である.2年間のフォローアップ1300)では内科治療の

図62 Stanford B 型大動脈解離の病期とTEVAR の適応

発症

病期

適応

推奨クラス2週3ヵ月1年

complicated

TEVAR

I(レベルC) IIa(レベルB) IIb(レベルC)

急性期亜急性期

偽腔拡大予測

緊急/準緊急 TEVAR preemptive TEVAR解離性大動脈瘤に対する TEVAR

瘤化

慢性期

表39 Stanford B 型大動脈解離急性期・亜急性期における慢性期偽腔拡大の予測因子

正の予測因子負の予測因子

年齢<60歳心拍数≧60/min Marfan症候群と遺伝性大動脈疾患フィブリン分解産物(FDP)≧20 μg/mL大動脈径≧40 mm楕円状の真腔/円形の偽腔偽腔の開存小弯側の偽腔やentry偽腔の部分血栓閉塞単独のentry偽腔径≧22 mm large entry≧10 mm心拍数≦60/min Ca拮抗薬の使用大動脈径<40 mm円形の真腔/楕円状の偽腔偽腔の完全血栓閉塞多数のentry,re-entry