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は注意を払う. 2.4.4 再手術から見た初回手術術式 Kazuiら1239)の報告によると,急性A型解離に対して上行置換を行った症例では,その多くで遠位側に開存偽腔が残っており,再手術を含めた大動脈関連イベント回避率は6年で70%であった.上行・部分弓部置換後,50~70%の患者で胸部下行大動脈に開存偽腔を認めたが,全弓部置換後では30%のみであったとの報告もある1091).1992年にCrawfordら1064)は,急性A型解離においてentryが上行大動脈にあったとしても,手術における危険因子が存在しなければ,同一視野で施行可能な上行・全弓部置換をすべきであると報告している.実際,急性A型解離における初回手術で,可能な範囲での拡大手術(基部置換,全弓部置換)を施行することにより再手術率が下がるという報告は散見される1091, 1231, 1240–1242).しかしながら,緊急手術前の,検査を含めた術前情報の不足や,大動脈解離自体による循環不全や臓器虚血の存在下での拡大手術は,それなりのリスクを伴い,多くが救命目的である初回手術時に,むしろ早期成績を悪化させる可能性があるため,その適応には慎重を要する.特に,夜間の緊急手術も多く,症例数の少ない施設や経験の少ない外科医が対応することもあるため,まずは救命を第一に優先する方針が重要とされる. entryが下行大動脈にあるようなDeBakey III型逆行性解離では,遠隔期に下行大動脈の拡大が予想されるため,全弓部置換術が有効な選択肢となりうる.その際,下行大動脈にFETを挿入するか,追加TEVARの可能性を踏まえ,十分なlanding zoneのためのET法を倂施する. 2.4.5 再手術の成績 最近の報告1233)で,再手術における術後30日の院内死亡率は7.0%,再手術後1年および5年の生存率は85.9%, 64.9%であった.年齢と脳,心,肺,腎,肝などの主要臓器の機能は,到達法,術式,成績自体に影響を及ぼす可能性がある.実際,胸骨正中切開による大動脈再手術の院内死亡に影響を及ぼす因子は,術前の心機能と腎機能であったと報告されている1243). 2.5 血管内治療 表38 Stanford A 型大動脈解離のTEVAR の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 下行大動脈の内膜tear による逆行性A型解離の症例で,弓部大動脈置換術が高リスクの場合にはTEVAR を考慮してもよい1244–1246). IIb C A型大動脈解離に対するステントグラフト(SG)内挿術の応用はFET法が最も多い.通常のTEVARは,急性A型解離に対しては4875例中90例(1.8%)にすぎず,慢性A型解離では1211例中161例(13.3%)に施行されているが,これにはDeBakey III型逆行性解離や急性A型解離に対する人工血管置換術後のTEVARも含まれている可能性がある(日本胸部外科学会2015年集計) 42). A型解離では上行大動脈にentryが存在することが最も多い.したがって,外科手術(人工血管置換術)が第一選択であるが,認知症,進行癌,脳障害などの重症malperfusionの他,高齢,フレイル(虚弱性),開胸到達困難,再手術,心不全やCOPDなどの併存疾患,宗教的理由による輸血拒否例などでは施行が困難である1247).内科(保存的)治療の予後が不良であることから1248),外科手術困難な限られた症例に対してのみ,entry閉鎖のためのTEVARが施行されているのが現状である. SGによる上行大動脈のentry閉鎖の可能性について,CT検査を用いたシミュレーションが報告されているが1249–1251),実施の可能性について定説を得ているとは言い難い.弓部大動脈や上行大動脈に留置するための分枝付きや短いSGが開発されているが,現時点で本邦において保険適用のデバイスはない. 急性A型解離の発症直後に行われた上行大動脈に対するTEVARの報告は2004年からなされている1252–1254).また,急性期に限らず,亜急性期や慢性期に施行されたTEVARや,人工血管置換術後の残存解離や大動脈瘤も含めた上行大動脈に対するTEVARについての中規模の報告はあるが, 389, 1255–1261),外科手術を第一選択としたうえでの限られた適応での報告であり,病期や部位もさまざまでエビデンスに乏しい. 下行大動脈にentryがあるDeBakey III型において解離が上行大動脈に及ぶ逆行性A型解離については,上行大動脈の解離腔の血栓化が得られている場合などは,一般に予後が良いとされ,急性期の内科治療が可能であると報告