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p.95 抽出テキスト

験718) において,塞栓症,出血イベントともDOACで有意に多く,機械弁患者に対するDOACは推奨できない(推奨クラスIII).

2.2.2 生体弁における抗血栓薬の適応と選択(表47)

生体弁植込み後,3~6ヵ月以内は血栓塞栓症のリスクが高いとされている719-721).3ヵ月間よりも6ヵ月間の抗凝固療法の方がより脳梗塞発症や死亡が少ないという報告719) もあり,最低3ヵ月,出血のリスクがなければ6ヵ月のワルファリンによる抗凝固療法(PT-INR 2.0~2.5)が推奨される(推奨クラスIIa).それ以降は,危険因子を持たない症例では抗凝固療法を行わないが,血栓塞栓症の危険因子を合併する場合には抗凝固療法(PT-INR 2.0 ~2.5)を継続することを考慮する.ASの治療においては,低侵襲なカテーテルによるTAVIの普及がめざましい. TAVI術後は従来6ヵ月の抗血小板薬2剤投与,その後一生抗血小板薬単剤投与が推奨される(推奨クラスIIa).近年,TAVI術後人工弁血栓症が7~40%で認められると報告され715, 722, 723),うち18%に顕在化した弁開放制限を来すとされている723).これを受けて2017年AHA/ACCガイドラインでは,出血のリスクが低い患者において術後3ヵ月の抗凝固療法を推奨している234).一方で,わが国からもTAVI患者の9.3%で30日以内の人工弁血栓症を認めたという報告があるが,その後の長期予後は抗凝固療法を追加せずとも人工弁血栓症を認めなかった群と差を認めなかったと報告されている73).高齢者では転倒のリスクも高く,欧米人よりも出血イベントが多いわが国では術後抗凝固を追加する判断は慎重にすべきであり,現時点では従来どおり,6ヵ月の抗血小板薬2剤投与,その後一生抗血小板薬単剤投与を推奨する(推奨クラスIIa).この推奨は,今後,エビデンスの蓄積により変化していく可能性がある.

2.2.3 過剰投与時・出血合併例に対する治療(表48)

ワルファリン投与時にINRが4.5を超えると出血のリスクが上昇する.さらにINRが6.0を超えると急激にリスクが上昇するため,急速な中和を考慮する.INRが4.5~6で出血を認めなければ,まずはワルファリンの中止またはビタミンKの投与を出血のリスクを見極めながら行う.重篤な出血を認めた場合,ビタミンKやプロトロンビン複合体製剤の静注を考慮する724).本ガイドラインでも「循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン(2009年改訂版)」116) に準じて記載する.抗凝固療法の再開時期については,出血イベントの部位,止血手技や出血の背景因子により決定されるべきである725). 2.2.4 観血的処置時の抗血栓薬の中止

抜歯などの歯科治療においてはワルファリン休薬により,血栓性・塞栓性疾患発症のリスクが上昇するとされる726).PT-INR 2.0~4.0 であればワルファリン継続下でも重篤な出血性合併症を伴わずに抜歯できることが前向き研究で示されており727, 728),INR 2.5以下での抜歯を勧める報告もある729).本ガイドラインでも「循環器疾患における抗凝固・抗血小板療法に関するガイドライン」と同様に至適治療域にPT-INRをコントロールした上での,ワルファリン内服継続下での抜歯を推奨する.

非心臓手術を実施する患者に対する抗血栓薬の中止については,抗血小板療法は1週間前に中止する.抗凝固療法においては,大きな外科手術を実施する場合にはワルファリンを72時間前までには中止し,INRが1.5以下になったことを確認する必要がある.基本的には,周術期には,INRが2.0未満の期間にヘパリンの持続投与が推奨される.ヘパリンの投与量はAPTTが55~70秒に維持されるように調節し,術前4~6時間前に中止する.術後は活動性の出血がないことを確認の後,可及的すみやかにヘパリン投与を再開し,ワルファリンに移行する.消化管内視鏡による観察時には,抗凝固療法や抗血小板療法を継続する.生検などの低リスク手技時もポリペクトミーなどの高リスク手技時も,ワルファリンを3~4日中止ないし減量しPT-INRを1.5以下に調整する.血栓症や塞栓症のリスクの高い症例ではへパリンによる代替療法を考慮する.

2.3 血栓弁の診断と治療

機械弁における血栓弁は弁狭窄/閉塞による心不全や

表48 人工弁例における抗凝固薬過剰投与・出血合併症に

対する治療の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

出血性合併症に対する一般の救急処置I C出血性合併症の重症度に応じたワルファリン減量または中止と必要に応じたビタミンK 投与I Cヘパリン投与中の出血性合併症の重症度に応じたヘパリン減量や中止,および硫酸プロタミンによる中和I C早急にワルファリンの作用を是正する必要がある場合の新鮮凍結血漿の投与IIa C