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p.86 抽出テキスト

1.3 心臓MRIによるPR評価

心臓MRI検査は,最も優れたPRの定量評価法であり,心エコー図検査によりPR評価が困難な場合にはMRIによるPR評価が有用である.MRIでは肺動脈弁上での位相コントラスト法により拍出量と逆流量を計測し,逆流率を求めることができる.逆流率>40%を重症,20から40%が中等症,および20%未満が軽症に分類されている(表41) 649).また,ファロー四徴症例の肺動脈弁再手術の適応決定に MRIで測定した右室駆出率や右室容量が参考所見として用いられている.

1.4 PR重症度の総合的評価

心エコー図検査によるPRの定量法が確立されていないため,複数の指標により総合的な評価が行われるべきである(表41).重症の基準をすべて満たす場合に重症PRと診断することは妥当である33, 34).しかし,心エコー図検査によって重症と評価できない場合や評価が不確実な場合,特にPRが問題となるファロー四徴症の肺動脈弁修復術後遠隔期では,MRIによるPRの重症度,および右室機能評価を行うべきである33, 34, 646, 649, 650-652).

2 外科治療(表42)

有症候性PRは外科治療の適応となる.PSに対するカテーテル治療や外科治療後の中等症以上の有症候性PRに対して,肺動脈弁置換は推奨される(推奨クラスI)

653).無

症状でも中等症~重症の右室拡大や右室機能低下を呈する場合も手術は妥当である(推奨クラスIIa).心室性頻脈性不整脈が出現した場合,手術を考慮しても良い.(推奨クラスIIb)その場合,外科的アブレーションも考慮する.右室拡大による中等症以上のTRの出現も,手術を考慮してもいいと考えられる.右室拡張末期容積係数170 mL/m 2,右室収縮末期容積係数80 mL/m 2を越えないうちに肺動脈弁置換術を推奨する施設もあるが654),現時点では明らか

な数値的な右室サイズの基準は定まっていない.

肺動脈弁置換術に用いられる人工弁としては,同種弁の優位性が示されているが655),わが国ではほとんど使用されていない.最近の生体弁の耐久性は向上しており,抗凝固療法が不要で,機械弁より遠隔成績が良好とする報告もあれば656, 657),機械弁でも抗凝固療法を確実に行えばその再手術率は同種弁よりよいとする報告もある658).わが国では生体弁が使用されている場合が多い659).肺動脈弁置換術により,症状の改善,右室拡張末期容積や収縮末期容積の減少,運動耐容能の改善,心室頻拍の減少が期待され,適切な時期に施行する必要がある660, 661).

3 内科治療

PRによって右心不全を生じた場合,利尿薬は症状や鬱血の改善に有用であるが,予後の改善含めた長期的な効果については明らかにされていない.また,PRに対するACE阻害薬,ARB,およびβ遮断薬の効果についても明らかになっていない.一方,ファロー四徴症に対する肺動脈弁修復術後PRの症例の中で,右室の拘束性障害を有する症例においてACE阻害薬が両心室機能を改善したという報告がある662).

表42 PR に対する手術適応の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

中等症または重症PR を有し,かつ,それ以外では説明できないような心不全症状を呈する症例に対する肺動脈弁置換術I C無症状の中等症または重症PR を有し,右心室拡大や右心室機能低下を認める患者に対する肺動脈弁置換術IIa C無症状の中等症または重症PR を有し,心室性頻脈性不整脈を認める患者に対する肺動脈弁置換術IIb C