p.85 抽出テキスト
弁に明らかな異常のない二次性PR原因としては肺高血圧症が挙げられる. 1.2 心エコーによる重症度診断 心エコーによるPRの重症度評価にはエビデンスが少なく,有用性は限定的である33, 34).右室の拡大はPR重症度を反映するが,肺高血圧では圧負荷に依存して右室拡大,右室機能低下が認められるため,PRの重症度を反映しにくい.また,急性PRでは右室の拡大は生じにくい.このように右室拡大によるPR重症度評価には制限があるが,ファロー四徴症における右室拡大基準として心尖部四腔像の右室基部径42 mm以上,右室中部径35 mm以上が提唱されている646).PRの右室機能評価では,TAPSEや組織ドプラ法の有用性が認められていない33, 34, 646).3D心エコー図による右室容量や右室駆出率の計測が期待されて いるが,エビデンスの蓄積が必要である.PR重症度評価には右室流出路でのカラードプラ法,パルスドプラ法および連続波ドプラ法が一般的である.最も信頼できるPR評価法は逆流ジェット幅と肺動脈弁輪径の比で評価する方法で,重症は0.7以上である(図21) 647).重症PRの連続波ドプラ波形はシグナル濃度が高く,急激に減速し早期終了するなどの所見が認められる(図21).それを反映してPR波形のPHTが短縮する.PHT 100ミリ秒未満で重症PRに関連するが,PHTは肺動脈と右室間の圧較差に依存するため右室拡張期圧上昇時には特異度が低下する648).またPR持続時間の拡張期時間に対する割合であるPR indexという指標があり,PR index 0.77未満で中等度以上のPRを示唆する(表41) 33, 34).肺動脈弁は食道から遠位にあるためにTEEの有用性は限定的である. 表41 PR の重症度評価の指標 軽症中等症重症 右室の大きさ正常拡大右室流入部基部で42 mm以上右室流入部中部で35 mm以上PRジェット幅と肺動脈弁輪径の比> 0.7 PR連続波ドプラ波形シグナルが薄いシグナルが濃いシグナルが濃く,早期終了PR波形のPHT <100ミリ秒PR index < 0.77 < 0.77肺動脈主幹部または分枝における拡張期逆流波形著明左室流出路VTIに対する肺動脈収縮期VTIわずかに増加中等度増加大きく増加MRIによるPR逆流率< 20% 20~40% > 40% VTI: velocity-time integral (Zoghbi WA, et al. 2017 33)を参考に作表) A B 図21 PR の重症度評価カラードプラ法(左図)では逆流ジェット幅(黄矢印)と肺動脈弁輪径(白矢印)の比を求める.0.7以上で重症PRを示唆する.右室流出路における連続波ドプラ波形(右図)では,PRのシグナルが急峻な減速を示し早期終了する(赤矢印).PR持続時間(黄色矢印)の拡張期時間(白矢印)に対する割合をPR indexという.