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p.84 抽出テキスト

単独TS重症度と予後との関連を明らかにしたエビデンスは乏しく,確立されたTS重症度分類はない.表40 に,重症TSでみられる心エコー図所見を示す643).三尖弁の弁口面積の測定は,心拍出量を連続波ドプラによる三尖弁通過血流の速度時間積分値で徐して求める連続の式,あるいは3D心エコー図検査によるプラニメトリ法で求めることができる.TSの重症度評価のみを目的としてルーチンで心臓カテーテル検査を行うことは推奨されない. MSなどの他の弁膜症の精査目的で心臓カテーテル検査を行う際や心エコーによる重症度評価と臨床的重症度が一致しない場合に,TS重症度評価のために右室-右房圧較差を行ってもよい(推奨クラスIIb).

2 外科治療

重症TSに対する外科治療を要する症例はきわめてまれで,それに関する報告もほとんどない.有症状重症TSに

は外科治療が推奨される.多くの場合弁膜は高度に障害されているために三尖弁形成は困難なことが多く,三尖弁置換術が必要となる.TRの外科治療の項でも述べたように,人工弁選択に明確な基準はなく,個々の症例に応じて選択される.

3 内科治療

TSに対する内科治療のエビデンスはきわめて乏しい. TRと同様に,右心不全症状を認める症例では,症状改善目的で利尿薬を用いる.この際,血管内容量低下による低心拍出症候群に注意する.利尿薬の効果が不十分な時は,バソプレッシンV2受容体拮抗薬を使用しても良い.

表40 重症TS を示す指標

弁の解剖学的変化心エコードプラ指標その他の示唆する所見

・ 三尖弁の硬化,石灰化,

可動性制限・PHT≧190ミリ秒・弁口面積≦1.0 cm2

・三尖弁mPG≧5 mmHg・三尖弁 VTI>60 cm・右房,下大静脈の拡大

弁口面積測定は連続の式,あるいは3D心エコーによるプラニメトリ法で行う. VTI: velocity-time integral

第8章 肺動脈弁閉鎖不全症(PR)

1 診断

1.1 原因

軽度のPRは,正常な肺動脈弁においても頻繁に認められるが,高度PRは稀な弁膜症である644, 645).重症PRを生

じる肺動脈弁の器質的異常では,四尖弁,二尖弁,および低形成などの先天的異常が多い.一方,ファロー四徴症では肺動脈弁形成術後にPRが頻繁に認められ,PRによる右室機能不全が予後に影響する.その他,IE,カルチノイド症候群,リウマチ性心疾患,およびドパミンD1,D2作動性パーキンソン病治療剤ペルゴリドが原因となることがある.稀だが胸部鈍的外傷によって肺動脈弁逸脱や弁破砕を生じPRを発症することがある.肺動脈