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6 内科治療とフォローアップ

TRに対する内科治療やフォローアップの頻度に関するエビデンスは乏しい.二次性TRでは内科治療でTR重症度が改善することがあるため,侵襲的治療を考慮する前に内科治療を優先して行うことが推奨される.内科治療にもかかわらず右心不全症状が持続する場合には,時期を逃すことなく侵襲的治療を検討する627).

6.1 内科治療

下腿浮腫や臓器うっ血,腹水などの右心不全症状に対しては,血管内容量軽減目的で利尿薬を用いる(推奨クラスIIa).ただし,血管内容量の過度な減少は,心拍出量の低下や脱水症状を引き起こすことがあるため,利尿薬の使用量については注意する.利尿薬としては,ループ利尿剤が有効であることが多く,頻用される.アルドステロン拮抗薬は,肝うっ血による高アルドステロン血症に対する効果も期待できる.これらの利尿薬の効果が不十分な時は,バソプレッシンV2受容体拮抗薬が有効な場合がある.バソプレッシンV2受容体拮抗薬は,電解質に大きな影響を与えずに,心不全患者の血管内容量減少作用を発揮することがいくつかの臨床研究で報告されて

いる640, 641).

左心不全に伴う二次性TRであれば,左心不全の原因に対する治療を第一に考え,それぞれ病態に応じた侵襲的治療あるいは最大限の内科治療を行う271).肺動脈性肺高血圧を合併している例では,肺動脈圧や肺血管抵抗の減少がTR改善に有効な場合があるため,肺高血圧症に対する内科治療を行う642).心不全や肺高血圧に関する内科治療については,それぞれの日本循環器病学会ガイドラインを参照されたい.

6.2 フォローアップ

軽症TRは健常者にも認めることがあり,多くは生理的な逆流の範囲内であるため,基本的にフォローアップは不要である.左心系心疾患や肺高血圧症など,TRの増悪因子を有する場合には,これら原疾患の病態に応じたフォローアップを行う.中等度以上のTRについては,有効なフォローアップ間隔に関するエビデンスは明らかでない.右心不全に対する薬物治療を行っている場合には,右心不全の重症度に応じた頻度で外来診療を行い,自覚症状や臨床所見の変化に応じて心エコー図検査を行う.無症候性重症TRの場合には,基本的に年1回程度の心エコー図検査を行い,自覚症状や臨床所見の増悪があった場合に適宜追加の検査や診察を行うことが望ましい.

第7章 三尖弁狭窄症(TS)

1 診断

TSの原因のほとんどはリウマチ性である.単独のTSは稀であり多くは連合弁膜症として発症するが,特にMSと合併することが多い.その他の原因としては,先天性やカルチノイド症候群,薬剤性によるものがある.TSのほとんどは,重症度に差はあるもののTRを合併している.

また,TSによりひき起こされる病態は,TRと同様に右室充満低下による心拍出量の低下と静脈圧上昇による臓器うっ血である.

TSの診断としてもっとも推奨されるのは,心エコー図検査である(推奨クラスI).三尖弁の硬化と可動性低下,ドーミングなどを認めるが,TSは稀な疾患なため三尖弁を注意深く観察しないと見落とされることがある.一般に三尖弁mPG 5 mmHg以上が有意なTSとされるが643),