GL検索 v0.1.0
画像は 79 ページを描画したものです
page 79

p.79 抽出テキスト

無症状であってもTRへの積極的な手術介入を推奨する(推奨クラスI).三尖弁形成術は置換術にくらべて術後の予後が良好という報告が多く614-616),可能な限り三尖弁形成術を行うことが望ましい.また,中等症一次性TRについては左心系弁手術後遠隔期に増悪するリスクがあり,左心系弁手術を行う際に三尖弁形成術が可能であれば,積極的に考慮する(推奨クラスIIa).

一方で,TRによる右心不全は薬物治療によく反応することが知られている.このため,左心系手術を行う予定のない高度一次性TRに対しては,まずは内科治療を試みる.内科治療にもかかわらず右心不全が持続する例,あるいはあらかじめ内科治療では右心不全の治療が困難と予想される例では,三尖弁形成術(または置換術)を推奨する(推奨クラスI).ただし,すでに高度な右心機能低下を来している例では手術リスクも高く,三尖弁手術によるベネフィットが得られない可能性があり,手術適応を慎重に検討する必要がある.また,同じ理由で,術前に高度な右心機能低下を来した例では術後の予後が不良となるため559, 607, 617, 618),無症状であっても右室拡大や右心機能低下が進行する例では,三尖弁形成術(または置換術)を考慮する(推奨クラスIIa).しかしながら,現時点で右心拡大や右心機能低下の具体的なカットオフ値は明らかではない.

5.2.2 左心系弁手術を行う際の二次性TR(表38,図19)

左心不全に伴う二次性TRの重症度は血行動態によってしばしば変化し,左心不全の改善に伴ってTRも改善することがある.一方で,左心系手術後,特に僧帽弁手術

後遠隔期にTRが増悪して予後不良因子となる例があることは多くの臨床研究が示している573, 611, 612, 619-622).これに対し,左心系弁手術時に三尖弁形成術を追加しても手術リスクが上がらないこと623)などから,左心系弁手術を行う際に二次性TRを合併している場合には,その手術適応を検討する必要がある.

左心系弁手術を行う際に,重症二次性TRを認める場合は,一次性TRと同様に積極的な手術介入を推奨する(推奨クラスI).中等症二次性TRに関して,三尖弁輪径や右心不全症状の有無にかかわらず,同時三尖弁形成術の施行を考慮すべきである(推奨クラスIIa).この理由として,同時三尖弁形成術が周術期リスクを上げない623, 624)ことに

三尖弁形成術推奨クラスIIb**

軽症TR

三尖弁輪拡大*

心房細動あり

あり

なし

なし中等症TR重症TR

三尖弁形成術推奨クラスIIa**三尖弁形成術(三尖弁置換術)

推奨クラスI経過観察

左心系弁手術を行う際の二次性TR

図19 左心系弁手術を行う際の二次性TR に対する手術適応* TTE四腔断面での計測で>40 mmまたは>21 mm/m2 ** 軽症/中等症TRに三尖弁置換術は推奨しない

表38 左心系弁手術を行う際の二次性TR に対する手術適

応の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

重症二次性TR に対する同時三尖弁形成術(または置換術) I C中等症二次性TR に対する同時三尖弁形成術IIa C三尖弁輪拡大を伴う(>40 mm または21 mm/m2)軽症TR に対する同時三尖弁形成術IIb C持続性心房細動を伴う軽症TR に対する同時三尖弁形成術IIb C