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p.76 抽出テキスト

とを利用したパラメータであるが578),中等度以上のTRを有する例では三尖弁輪部が長軸方向に過剰運動をしてしまうために右室収縮能を過大評価してしまうことがある579).このため,有意なTRを有する例では右室収縮能として右室FACを用いることが多い.しかしながら, LVEFとMRの関係のごとく,有意なTRを有する例では低圧の右房に逆流が生じるため,実際の右室収縮能以上に見かけの右室FACは高くなることがあることを認識しておく必要がある.右室拡大の評価としては,心尖四腔像で右室径や右室面積の測定を行うが35),短軸像で右室拡大による左室の圧排所見の有無を確認することも重要である.また,複雑な形態の右室容積や駆出率をより正確に測定するには,3D心エコー図が有用である35, 580).現在,右室容積評価法として心臓MRIが主流となっているが,3D心エコー図を用いてもよい(推奨クラスIIb).さらに,最近では,2Dスペックルトラッキング法による右室自由壁の長軸方向ストレインが従来の心エコー指標にくらべて,より正確な右室収縮能評価法として用いられている45).

とくに二次性TRの治療方針決定には,三尖弁輪径の計測が重要である.AHA/ACC 165)ならびにESCガイドライン3)では,三尖弁輪拡大の基準をTTEによる心尖四腔像,拡張末期に計測した三尖弁輪径40 mmもしくは21 mm/m 2以上としている.しかしながら,体格の異なる日本人においてこの値が妥当か否かについては,今後の検討が必要である.

二次性TRでは三尖弁のテザリングについても評価する.三尖弁テザリングの評価は心尖四腔像で収縮期中期に三尖弁が最も閉じた時相で行う.この断面では,右室自由壁側に前尖(20%の症例では後尖),中隔側に中隔尖が描出される.右室拡大が進行して心尖方向へ三尖弁の弁尖が牽引され,明らかに弁の接合が不良となっていればテザリングが生じていると判断できる.Fukudaらは,三尖弁輪から弁尖接合部位までの高さが8 mmを超える例では,三尖弁形成術後のTR再発が有意に多くなることを報告している581).

4.2.2 TEE

三尖弁の評価においては,TEEはTTEにくらべて描出できる断面が限られていること,プローベから三尖弁までの距離が大きいことなど限界がある.このため,TEEはかならずしもTRの評価に必要ではない33).しかしながら,TTEで良好な画像が得られない例では,TEEが有効である(推奨クラスIIb).また,3D心エコー図検査では, 3 つの弁尖を同時に描出して接合や逆流を評価したり, 3次元的な三尖弁輪周囲長を正確に計測したりすることが

可能である163).このため,必要に応じてTEEの適応を検討する.

4.2.3 運動負荷心エコー図検査

重症一次性TRにもかかわらず症状が明らかでない場合には,治療方針決定に運動負荷心エコー図検査が有効な場合がある(推奨クラスIIb).負荷中の症状や運動耐容能とTR重症度の関連について検討する.エプスタイン奇形における検討で,重症TRでは負荷中の右室からの心拍出量が低下しており,これが手術によって改善されることが報告されている582).

4.3 心臓カテーテル検査

心エコー図検査による肺動脈圧や肺血管抵抗,右房圧の推定には限界が多い.このため,TRの手術適応を決める上で,右心カテーテルはこれらの評価に有用であり推奨される(推奨クラスIIa).右室造影はTRの重症度や右室拡大の評価に有用であるが,多くの例で心エコー図と心臓MRIでこれらの評価は十分可能である.このため, TR評価のためにルーチンで右室造影を行うことは勧められない.しかし,他の画像診断でTRの重症度が十分に決められないときには右室造影が有用な場合がある.また,重症TR例では,熱希釈法による心拍出量は不正確になるため,Fick法での測定を行う.

4.4 その他の検査

心臓MRIは右室容積や収縮能評価を正確に行うことが可能であり,現在のゴールドスタンダードである580).また,定量的なTR重症度,三尖弁テザリング,肺血管抵抗などの血行動態の評価に関しても報告されている577).TR重症度評価のためにかならずしも心臓MRIを行う必要はないが,施行可能な施設では必要に応じて施行してもよい(推奨クラスIIb).また,TRの臨床的重症度としては臓器うっ血の評価が重要である.肝機能低下は周術期の死亡リスクであり,不可逆性の肝硬変は手術禁忌となる583).また,脾機能亢進による汎血球減少は,易感染性や出血のリスクとなり,手術適応を考える上でその評価は重要である.TRの手術適応を考える上で,症状が明らかでない例では心肺運動負荷試験が自覚症状ならびに運動耐容能の評価に有用である582)(推奨クラスIIb).