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p.74 抽出テキスト

収縮期雑音の聴取,浮腫,肝腫大などが挙げられる.特に頸静脈の怒張はTRの診断に重要である.外来患者で,下腿浮腫とともに座位で頸静脈怒張が明瞭に観察される場合には,TRの存在を疑うべきである.頸静脈の拍動パターンはTRの重症化に伴い変化する.TRが中等度以上になるとv波の増高や早期出現,x谷が浅くなる現象がみられるようになり,重症化すると収縮期陽性波が観察される.さらに重症化すると頸静脈波形は右室波形化し,収縮期に頸静脈怒張の増強が観察される.前胸部における全収縮期雑音の聴診もTRの診断に重要であり,

吸気時に雑音が増強するRivero-Carvallo徴候がみられることが知られている.しかし,聴診によるTRの診断にあたっては,いくつか知っておくべき注意点がある.一つ目は,v波が増高して右室-右房圧較差が収縮後期に急に小さくなる場合は,駆出性雑音と類似した漸減性の心雑音を呈することがある.二つ目は,TRが重症化して右室-右房圧較差が小さくなると,全収縮期雑音が小さくなることである.特にTR波形が層流化するほどの重症TRでは,TRによる心雑音をまったく聴取しないことも珍しくない.

4.2 心エコー図検査

心エコー図検査はTRの重症度と病態評価として第一に行うべき検査である(推奨クラスI).多くはTTEのみの評価で十分であるが,必要に応じてTEEを行う(推奨クラスIIb).

4.2.1 TTE

TR症例におけるTTE評価の主なポイントは,TRの原因および重症度評価,圧較差,右室サイズおよび右室収縮能,右房圧の推定である.二次性TRの場合は,左心系心疾患や肺高血圧症など,その原因についても評価を行う.これらの評価は,基本的に米国心エコー図学会(ASE)による弁膜症評価ガイドライン33),心腔計測ガイ

表35 TR に対する各検査の推奨とエビデンスレベル

推奨クラスエビデンス

レベル

TR の重症度,病態,右室および右房,推定肺動脈収縮期圧,推定右房圧,併存する左心系疾患の評価におけるTTE I C臨床所見と非侵襲的評価の結果に乖離がある場合の肺動脈圧や肺血管抵抗,右房圧の評価のための侵襲的カテーテル検査IIa C

TTE で十分な評価ができない場合のTEE IIb C右室容積や収縮能を評価するための心臓MRI あるいは3D 心エコー図検査IIb C重症TR にもかかわらず,症状が不明瞭な場合の運動負荷心エコー図検査または心肺運動負荷試験IIb C

表34 心エコー図検査によるTR 重症度評価

軽症中等症重症

定性的カラードプラTRシグナル1+ 2+ 3+連続波ドプラ波形収縮早期ピーク(triangular shape)半定量的カラーシグナル面積(cm2) <5 5~10 >10カラーシグナル/右房面積比 (%) ≧50縮流部幅 (cm) <0.3 0.3~0.69 ≧0.7 PISA半径 (cm) <0.6 0.6~0.9 >0.9肝静脈血流波形収縮期逆行波定量的EROA (cm2) (PISA法) <0.2 0.2~0.39 ≧0.4逆流量 (mL) <30 30~44 ≧45