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p.65 抽出テキスト

量20 μg/kg/分)によって一回心拍出量を20%以上増加させた際に,AVAが1.0 cm 2 を超えず,大動脈弁最大血流速度が4.0 m/秒以上またはmPGが30~40 mmHg以上になる場合は真の重症ASと診断され,AVAが1.0 cm 2を超える場合には偽性重症ASと診断される.ドブタミン投与後も一回拍出量が20%以上増えない場合は収縮予備能の低下を意味し,鑑別は困難である.CTを用いて求められる石灰化スコアが鑑別の参考になるが487),この群ではAVRを行っても予後は良好ではないとされてきた.しかし,最近 TAVI後の予後に収縮予備能の有無は関連しない,との報告がみられる488).収縮予備能低下群の手術適応についてはさらなる検討が必要である.

4.4.2 LVEF正常例(≧50%)(奇異性低流量重症AS)

奇異性低流量重症ASの特徴は,LVEFが50%以上あるにもかかわらず,壁が厚く,左室が小さく,一回心拍出量係数(SVi)35 mL/m 2未満,AVA 1.0 cm 2未満,大動脈弁最大血流速度4.0 m/秒未満,mPG 40 mmHg未満で

ある.この疾患の予後に関しては,報告により異なるため,議論のあるところである489-492).左心室が小さい場合,左室流出路径が小さく,SViが低く,AVAが小さく算出される可能性がある.LVEFの保たれた低圧較差症例では,SViが保たれているか低下しているかにより予後が大きく異なる493).したがって,この奇異性低流量重症ASと診断するにはSViとAVAの計測に誤差要因がないかしっかり確認する必要がある.多くの場合,高血圧の既往を有する.誤差要因がないことを,必要に応じて他のモダリティでも確認した上で,CTによる石灰化スコア65),左室肥大の程度494),mPGが比較的高値(30~40 mmHg),AVAが小さいこと(<0.8 cm 2)などから,真の重症ASかどうか,総合的に判断する.

図16にASの重症度評価のフローチャートを示す.

低圧較差AS Vmax<4 m/秒, mPG<40 mmHg

重症ASでない可能性が高い

正常流量(SVi>35 mL/m2)

可逆的→正常流量下で再評価非可逆的

重症AS

重症ASの可能性が高いAVA <1.0 cm2 (AVAI<0.6 cm2 /m2)

(AVAI<0.6 cm2 /m2)

(AVAI<0.6 cm2 /m2)中等症AS

AVA≧1.0 cm2

収縮予備能あり(⊿SV≧20%)

偽性重症AS (pseudosevere AS)

AVA ≧1.0 cm2

真の重症AS (true severe AS)

AVA<1.0 cm2 CTによるカルシウムスコア評価(Agatston unit) ≧2,000(男性), ≧1,200(女性)

収縮予備能なし(⊿SV<20%)

中等症AS

AVA≧1.0 cm2高圧較差AS Vmax ≧4 m/秒, mPG ≧40 mmHg

ASを疑わせる弁形態・所見

高流量(SVi>58 mL/m2)

高流量状態は可逆的か?

LVEF ≧50%

Paradoxical severe ASの可能性が考えられる高圧較差重症AS

はい

はいいいえ

AVA <1.0 cm2

LVEF<50%

低流量(SVi ≦35 mL/m2)

ドブタミン負荷エコー

図16 AS の重症度評価AVAI:AVA index, Vmax:大動脈弁最大血流速度,SV:一回拍出量