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p.62 抽出テキスト

短期間で進行している患者,LVEFが低下傾向にある患者ではイベント発生率が高いとされている24, 28, 469, 470, 474).

一尖弁,二尖弁,四尖弁は大動脈拡大や大動脈解離を伴う確率が高いとされているが451, 453, 454, 475, 476),一方でこれを否定するデータもある477).さらに致死的イベント発生率の絶対値は高くないので,長期的な生存率は決して悪いわけではない454, 476).

3 重症度分類(表30)

大動脈弁に開放制限を認めるも,AVA≧1.0 cm 2 であれば軽症ないし中等症ASに該当する.軽症と中等症は大動脈弁最大血流速度ないしmPGで定義する.AVAが< 1.0 cm 2 ないしBSAでAVAを補正した値が<0.6 cm 2/m 2 BSAであれば重症ASに該当する.AVA<1.0 cm 2の重症ASは,大動脈弁最大血流速度≧4.0 m/秒ないしmPG≧ 40 mmHgとなる高圧較差と,大動脈弁最大血流速度<

4.0 m/秒ないしmPG<40 mmHgとなる低圧較差に大き

く分けられる.低流量のために低圧較差を示す重症ASは,さらに,LVEFが低下して一回拍出量が低下している病態と,LVEFは保持されているが左室容積が小さい

ために一回拍出量が低下している病態に分けられる.低流量低圧較差重症ASは,偽性重症ASとの鑑別が重要で,それについては後述する(4.4 低流量低圧較差AS[low flow,low gradient AS]を参照のこと).

このような客観的なデータに加え,重症ASの患者は心不全症状,胸痛,失神など,ASに基づくと考えられる自覚症状を有するか否かで,症候性と無症候性に分類される.自然歴に記述したように,症候性の場合,無症候性以上に予後不良であるので,疾患としての重症度がより高いと判断する.

4 診断とフォローアップ

4.1 症状と身体所見

ASに特異的な症状はない.ASに伴う症状は,労作時息切れなどの心不全症状,胸痛,失神などである.なお自覚症状を聴取する場合は,階段を2階まで上った際に

表29 無症候性重症AS 患者の予後に関する報告

対象AS重症度症例数(人)男性(%)平均年齢(歳)アウト

カムイベント回避率(%)

1 年2 年3 年4 年5 年6 年7 年8 年

N Engl J Med. 2000 469) Vmax≧4 m/秒128 53.9 60±18全死亡またはAVR 67±5 56±5 33±5 Circulation. 2005 28) Vmax≧4 m/秒622 61.7 72±11心臓死またはAVR 80 63 25 Circulation. 2010 470) Vmax≧5 m/秒116 50.9 67±15心臓死またはAVR 64±4 36±5 25±4 12±4 3±10 Circulation 2010 472) AVA≦0.75 cm2でかつ, Vmax≧ 4.5 m/秒 またはmPG ≧50 mm Hg 95 46.3 63±12 心臓死 または AVR 71±5 47±5 28±6 JAMA Cardiol 2018 471) AVA<1.0 cm2 861 57.7 72±12全死亡またはAVR 54±2 32±3 12±3 J Am Coll Cardiol 2015 473) AVA <1.0 cm2または Vmax> 4.0 m/ 秒 または mPG >40 mm Hg 1,517 39.8 77.8 ±9.4全死亡87.7 72.4 58.3 Vmax:大動脈弁最大血流速度