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p.58 抽出テキスト

群より長期生存率が良好であった.対象患者は50代後半,75%が男性,BSAは平均2.0 m 2程度あり,やや体格が大きい患者群であることに注意すべきであるが,むしろ≦25 mm/m 2 の患者群でも手術したほうが予後良好であることを示した初めての論文である.またYangら434)はメイヨークリニックの重症AR患者を361人のAVR施行群と387人の保存的治療群とで比較した. 58%が無症状であった.多変量解析では,推奨クラスIの適応基準の次にLVESD index>25 mm/m 2が予後と相関していた.またMaedaら436)はAVR施行の重症AR患者268人のうち,無症状の患者162人を解析し, LVESD index≦25 mm/m 2 かつLVEDD≦65 mmの患者群(61人)はLVESD index >25 mm/m 2 またはLVEDD>65 mmの患者群(101人)と比較して,10年までの予後には差がないものの,10年以降の予後が優れていたと報告した.これは日本人の観察研究であり,患者年齢は50代後半,男性70~80%,平均BSAは1.63 m 2であった.

重症ARでLVEF正常,左室拡大ありで無症状の患者に対して早期手術介入と保存的治療を比較したランダム化比較試験は存在せず,観察研究も少ない.また,カットオフ値25 mm/m 2 が最適であるためなのか,より大きい,または小さい値を比較した研究はない.存在する論文はすべて後ろ向き解析ではあるが,前述の論文の結果をふまえて,推奨の強さを2,エビデンス総体の強さをCとした.

手術適応の推奨度に関しては,他の項目ともあわせて,本文(5.2.2 慢性AR)を参照されたい.

6 上行大動脈拡大・特殊例に対する 手術適応(マルファン症候群・二 尖弁など)(表28)

6.1 大動脈三尖弁

6.1.1 単独では手術適応がないAR+上行大動脈拡大

ARの重症度や大動脈弁形態に関わらず,上行大動脈径≧55 mmの場合は予防的に上行大動脈置換術を施行することが妥当と考えられる437, 438)(推奨クラスIIa).また,大動脈径の拡大が>5 mm/年で進行する場合も,たとえ上行大動脈径<55 mmであったとしても予防的に上行大

動脈置換術を施行することが妥当と考えられる(推奨クラスIIa).さらにARの重症度が中等症以上であれば同時に大動脈弁手術を施行することが妥当と考えられる(推奨クラスIIa).

6.1.2 手術適応の重症AR+上行大動脈拡大

重症ARに対する手術適応がある場合,上行大動脈径≧50 mmであれば,同時に上行大動脈に対する手術を考慮することは妥当と考えられる(推奨クラスIIa).だだし,高齢でありかつ他の弁膜症またはCABGなどの手技が加わり,手術全体の侵襲性が高く,リスクが高いと判断した場合は,上行大動脈置換術の施行は弁膜症チームで議論して決める.

6.2 大動脈二尖弁

6.2.1 単独では手術適応がないAR+上行大動脈拡大

若年,危険因子が併存または大動脈縮窄症を合併している場合は,上行大動脈径≧50 mmで上行大動脈置換術を施行することを推奨する(推奨クラスIIa) 439).危険因子とは,大動脈解離の家族歴・血管解離の既往歴・重症ARまたはMR・妊娠希望・高血圧症・大動脈径の経時的拡大(>3 mm/年)を指す.危険因子または大動脈縮窄症の合併を認めない場合は,上行大動脈径≧55 mmで上行大動脈置換術を施行することを推奨する(推奨クラスIIa).さらに,ARの重症度が中等症以上であれば同時に大動脈弁手術を施行することが妥当である(推奨クラスIIa).

6.2.2 手術適応の重症AR+上行大動脈拡大

重症ARに対する手術適応がある場合,上行大動脈径≧45 mmであれば,同時に上行大動脈に対する手術を推奨する(推奨クラスIIa).

6.3 マルファン症候群

6.3.1 単独では手術適応がないAR+上行大動脈拡大

マルファン症候群と診断された場合,背景疾患の有無に関わらず上行大動脈径≧50 mmであれば予防的に上行大動脈置換術を施行することを推奨する(推奨クラスI) 440).上行大動脈径≧45 mmで危険因子の併存またはLoeys-Dietz症候群に代表される遺伝子変異を認める場