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が小さく,左室拡大がないことも多いため,重症度の診断が難しい.連続波ドプラARシグナルのPHTの短縮(300ミリ秒以下),僧帽弁血流速E波の減速時間の短縮(150ミリ秒以下),僧帽弁の早期閉鎖やそれに続く拡張期MR等の所見により,左室拡張末期圧の著明な上昇を推定する390).TRがあれば肺高血圧の程度が予測できる.急性ARの原因であるIE,大動脈解離などのARの原疾患の検索を行い,TTEでの診断が困難な場合はTEEの施行を考慮する. 4.2.2 慢性AR 大動脈弁および基部の形態とARの原因,重症度および左室の大きさ,心機能を評価する.TTEでの主要な評価項目を表25 に示す.TTEで十分な情報が得られれば経過観察に他の検査は不要であるが,長期間無症状で経過する慢性ARでは症状の出現をとらえることが難しい.潜在性心機能低下や症状の評価には運動負荷心エコー図検査が有用である31, 48, 391, 392).運動負荷心エコー図検査では左室収縮予備能の評価が可能であり,左室収縮予備能の低下が外科治療後の左室機能低下を予測するとの報告もある393).また,ARの重症度と症状が乖離している場合の運動負荷心エコー図検査は虚血性心疾患や機能性MR,左室拡張不全,肺高血圧などの症状の原因となる病態の検出に有用である48). TTEは診断の中心となる検査であるが,詳細な弁尖,逆流弁口や大動脈基部形態の評価にはTEEが用いられる(推奨クラスI) 394).とくに大動脈弁形成や自己弁温存基部置換術が考慮される症例では逆流の成因を明らかにし,手術適応の判断,さらに術式デザイン,用いるリングや人工血管のサイズの決定などのために詳細な計測が必要となる.術前の最も重要な計測項目は弁尖の長さ (geometric height)であり,geometric heightが不十分なものは弁形成の適応とならない395).Effective heightは弁閉鎖時の弁輪面から弁尖先端までの垂直距離で,弁尖逸脱およびテザリングの指標となる396)(図14).このほか弁輪径,バルサルバ洞径,ST junction径を計測する.弁輪は正円でないことから周囲長や面積を計測し,これらより径を算出する.Geometric height,effective heightや基部の計測は二次元(2D)アプローチでは計測断面を描出することが不可能であることがあり,3Dアプローチを用いて至適な断面を抽出して計測を行う.これらの計測は,3D TEEに比較し解像度の高い心臓CTが有用である(推奨クラスIIa) 397). 4.3 心臓カテーテル検査 心エコー図検査での評価が困難な症例や,臨床症状と心エコー図所見に乖離があるような症例では,心臓カテーテル検査による重症度・血行動態評価が有用である(推奨クラスIIa). 血行動態上の特徴は大きな脈圧である.重症ARでは左室拡張期圧は急速に上昇し,拡張末期には左室圧と大動脈圧はほぼ等しくなる.大動脈造影では逆流の程度を確認し,重症度はSellers分類で評価する.左室造影ではLVEFの計測が可能であり,他の画像診断法では適切な情報が得られない場合に有用である.冠動脈造影では冠動脈病変の評価を行うが,冠動脈疾患の危険因子が少なく,冠動脈CT検査にて冠動脈病変が否定的な場合は,かならずしも必須ではない. 図14 弁形成術や自己弁温存基部置換術を考慮するAR 症例のgeometric height (GH)とeffective height(EH)の計測