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p.44 抽出テキスト

が存在する場合は避けるべきである.僧帽弁形態がPTMCに適しているかを客観的に評価する方法としてWilkinsスコア(表19) 329)が知られており,合計8点以下であればPTMCに適していると判断する.しかし, Wilkinsスコアには交連部の情報がないという問題点があり,また8点以上の症例がかならずしもPTMCができないというわけではない.

弁の形態や重症度評価を行う目的では,通常はTTEで十分であり,TEEをルーチンに行う必要はない.ただし,心房細動合併例やPTMC前など左房内血栓の有無を確認しなければならないときに適応となる(推奨クラスI).

負荷心エコー図検査は,中等症以上のMSにおける症状の有無の確認や,弁狭窄が軽度であるにもかかわらず労作時呼吸困難を訴える場合に行う(推奨クラスIIa).後者は運動時に著明に僧帽弁圧較差が増大し,左房圧・肺動脈楔入圧が上昇し肺高血圧を来たしている可能性が考えられる.これを確かめる手段として,運動負荷心エコー図検査が用いられる.エルゴメータ施行後にドプラ検査により肺動脈圧の異常上昇を認めたときには何らかの侵襲的治療が必要である.

4.3 心臓カテーテル検査

MSの診断および重症度評価のための,僧帽弁圧較差, MVA,血行動態,左室機能のほとんどはTTEで評価,推定することができるため,近年は本疾患における心臓カテーテル検査の意義は減少しつつある.しかし,TTEでの評価が困難な症例や,臨床症状と心エコー所見に乖離があるような症例においては,心臓カテーテル検査による重症度・血行動態評価が有用となる(推奨クラスIIa).僧帽弁圧較差は,理想的には左房圧と左室圧の同時計測により評価されるが,侵襲度や簡便性を考慮し左房圧を肺動脈楔入圧に代替して用いることは許容される.MVAは,熱希釈法(重症TRや心内シャントがない場合)もし

くはFick法を用いた心拍出量,拡張期流入時間等の測定をしたうえで下記のGorlinの式により算出される.僧帽弁圧較差は総僧帽弁口血流により生じ,MRを合併する場合には順行心拍出量に逆行血流が加わることとなる.したがって,上記の心拍出量測定値を用いるとMVAが過小評価されることになり注意が必要である.また,労作時の症状と安静時の圧較差が一致しない場合には,運動負荷前後のカテーテルによる血行動態測定が有用な場合がある.

MVA=CO/(DFP×HR)/37.7√MVG

CO:心拍出量(mL/分),HR:心拍数(beat/分),DFP:拡張期流入時間(秒/beat),MVG:平均左房-左室圧較差

MSに対する検査の推奨とエビデンスレベルを表20に示す.

5 外科治療とカテーテル治療

5.1 外科治療の術式と成績

5.1.1 歴史的背景

a. 非直視下僧帽弁交連切開術(CMC)

MSに対する外科治療の最初の成功例は1923年にCutlerとLevineによって報告された330).その後しばらくCMCは日の目をみることはなかったが,1948年にBaileyら,Harkenら,Brockらが立て続けに左心耳からCMC

表19 Wilkins スコア

グレード弁尖可動性弁尖肥厚石灰化弁下組織の肥厚

1 弁尖先端部のみ制限され ているが良好な可動性 ほぼ正常 わずかに一部のみ 弁直下腱索のみ

2 弁尖可動性不良,弁中部 ~基部正常弁中央は正常,弁辺縁は肥厚弁辺縁に散在腱索の1/3

3弁基部のみ可動性あり弁全体に肥厚弁中央部まで及ぶ腱索の2/3

4 ほどんど可能性なし 弁全体の著明な肥厚 弁全体に著明 乳頭筋まで及ぶ腱索全体 の肥厚・短縮

(Wilkins GT, et al. 1988 329)より改変) ©1988 BMJ Publishing Group Ltd. & British Cardiovascular Society