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p.41 抽出テキスト

同ランダム化試験であるEVERESTII試験310)では,おもに一次性有症候性重症MR患者を対象に行われ,生存率に差異は認められなかったが,再発・残存による1年以内のMR外科手術施行率はMitraClip ®治療群が20%で,手術の2%に比して有意に高値であった.一次性MRに対しては,周術期リスクが低い患者では手術が第一選択となり,MitraClip ®治療は手術に変わる治療にはなりえない.一方,手術の高リスク患者ではMitraClip ®が適応となりうる.その適応に関しては手術リスクやTRなどの合併病変の有無などを考慮し,弁膜症チームで十分な議論がされたうえで決定されるべきである.

6.2.2 二次性MR

MitraClip ®治療は心不全に併発する二次性MRに対する期待が大きい.事実,欧州の実臨床で約7割が二次性MR患者に行われている311).手術の高リスク患者で主に二次性MR(59%)を対象としたMitraClip ®と薬物療法の比較試験であるEVEREST IIの高リスクコホートでは, MitraClip ®群の生存率は薬物治療群に比して良好で,年間心不全再発率も有意に低値であった312).左室収縮機能

低下を伴う二次性MRのみを対象として,従来の薬物療法群と薬物療法にMitraClip ®治療を加えた群を比較した2つの前向き多施設ランダム化比較試験,COAPT試験313)とMITRA-FR試験314)が発表された.COAPT試験ではMitraClip ®群で心不全発症抑制のみならず,死亡率まで低下させる効果を認めたが,MITRA-FR試験では,心不全抑制ならびに予後を改善しないと報告された.この相反する2 つの試験の結果は,対象患者のMR重症度や左室機能の違いや,薬物による心不全治療がMITRA-FR試験で不十分であることが原因ではないかと考えられている.以上より,MitraClip ®治療はガイドラインに準じた十分な薬物治療ないしはCRTなど既存の治療を行っても心不全症状が残存する重症MRの患者において考慮されるべき治療である.前述のごとく,二次性MRは負荷の状態により重症度が変化するため,負荷心エコー図などで評価することも重要である.適応は,弁膜症チームで十分に議論されたうえで,決定されるべきである.

表17 MitraClip ® 適用基準

適応となる症例•  LVEF≧30%で重症一次性ならびに重症二次性MR患者(MRの重症度は安静時・負荷時を問わない)のうち,外科的開

心術が困難な症例•  MRの改善により症候軽快が期待される症例•  MitraClip®を用いた施術に適した僧帽弁の形態

ただし,右の場合を除く• わが国のガイドラインに準じた至適薬物療法が十分に行われていない二次性MR

• 心不全の急性増悪• 強心薬(カテコラミン)に依存している状態• 補助循環を使用している症例

不適当な症例• 大腿静脈にシース挿入困難,あるいは同側に深部静脈血栓症が存在

• 弁尖の解剖学的特徴により,機器の操作・留置が困難(例としては以下を含む) - MitraClip®留置予定部位の石灰化- MitraClip®留置予定部位の顕著な裂隙- 2ヵ所以上で高度な MR を認め,施術によっても病態の改善を望めない- リウマチ性僧帽弁疾患など施術により弁尖の動きが著しく制限され僧帽弁狭窄をきたす可能性が高い- 後尖< 7 mmまたは重度の可動制限- MVA< 3.0 cm2 • 僧帽弁に活動性 IE 等の活動を有する変性病変が存在• 僧帽弁位人工弁置換術後• 心臓内腫瘍,心臓内血栓,心臓内疣腫(vegetation)の存在• 食道疾患などによりTEEの実施が不可能• 非心臓性併発疾患があり,余命が 1 年未満と推定される症例• 抗血小板療法または抗凝固療法が禁忌の症例

(日本心不全学会,他. 316) を参考に作表)