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p.38 抽出テキスト

ラスIIb). 281, 282, 284) ii. CABGによる血行再建を行わない場合

CABGによる血行再建を行わない場合,心不全症状がなければ注意深い定期観察と内科治療が第一選択となる.内科治療にて心不全のコントロールがつかない場合,特に運動負荷心エコー図検査などで運動時に肺高血圧やMRの増悪をきたす場合,弁膜症チームカンファレンスで討議のうえ,治療方針を決定する.

4.4 内科治療とフォローアップ

4.4.1 手術非施行例

二次性MRに特異的な内科治療やフォローアップ法はない.一般の心不全・遠心性リモデリングに対する治療やフォローアップが行われる.神経体液性因子に対する治療が基本となる.レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の阻害薬やβ遮断薬は早期から使用する(推奨クラスI)(表14) 269, 270).急性増悪時には早期に利尿薬を使用し,心不全軽減に努める285).SGLT2阻害薬は心不全に効果があり糖尿病合併例では効果が見込める286).CRTの適応となる症例では,CRTを施行する(推奨クラスI) (表14).CRTにより,リバースリモデリングが起こると, MRが改善する可能性がある.心臓リハビリテーションが有効であり,積極的に行う287).左室収縮能指標(収縮末期弾性[end-systolic elastance: Ees])低下例で後負荷(血圧)が増大すると左室が高度に拡大し,MRも重症化するので血圧を低めに保つことは左室収縮能正常例に比べより重要である288).

ドプラ心エコー図による僧帽弁流入血流速度波形のE波減速時間は心不全例の予後と密接に関連するため289),フォローアップ心エコー図検査の際の,1つの指標となる.心エコー図検査は,症状悪化時はもちろん,悪化がなくても重症MRでは6~12ヵ月ごとに施行する.

4.4.2 術後フォローアップ

形成術後の残存または再発MRが30%前後の症例で出現する248).弁輪形成術による,後尖テザリングの悪化がMR再発の機序の1 つである247).また,弁輪形成術を行うと前尖・後尖間の距離が短縮する.術前から前尖は拡張期テザリングにより解放が制限されており,これらが組み合わさることにより術後30~50%の症例で機能性MSが弁尖先端レベルに出現する290).MR再発も機能性MSも心不全の原因となる.術後心エコー図検査ではこれらのポイントに注意を払う.これらの基本機序は左室拡大によるテザリングであるため,治療は左室拡大を抑制

することである.

MitraClip ®による治療後の評価は,一回心拍出量・左室容量・LVEF,MRとMSの程度を評価する.MitraClip ®による治療後は2 つの弁口のためにMRの定量化は困難であり,定性的に評価しているのが現状である291).MSの評価では,心エコードプラ法による圧較差を用いる292).一般にmPG≧5 mmHgが予後不良の所見とされ293),連続の式による僧帽弁口面積(MVA)の意義は不明である.

5 二次性(機能性)MR: 心房性機能性MR

5.1 病歴と自然歴,機序

持続性心房細動に心房拡大,僧帽弁輪や三尖弁輪の拡大を伴えば,左室収縮能低下を伴わない例においても有意な機能性MRや機能性TRが生じ得ることがわかってきた.経験的には知られていた事実であるにもかかわらず系統的な研究が少なく,このようなMRやTR,特にMRに関してはほとんど知見がなかった.しかし,持続性心房細動例における心房拡大に起因するMRについての研究が最近になってようやく進み,心房性機能性MRとよばれて注目されている137-139, 146-148, 294-302).本病態に関してはわが国からの報告も多く,疾患概念の確立にわが国は大きく寄与している.英語では,atrial functional MRあるいは簡単にatrial MRとよばれ,前者が頻用される.また,本症と区別するために,従来から知られている左室不全に伴う機能性MRを心室性機能性MR(ventricular functional MR)とよぶこともある.また稀ではあるが,心房細動を有さない洞調律例においても,心房拡大を伴えば心房性機能性MRが生じ得る.

心房細動例における中等症以上の心房性機能性MRの頻度は,母集団によってばらつきがあるが決して高くはない(2.8~15%) 138, 146-148, 300).一方,10年以上の長期持続性心房細動例では10年未満の例とくらべて高率(28%)に中等症以上の心房性機能性MRが認められたとの報告がある148).本報告において,心エコー図検査時の心房性機能性MRとTRの重症度はいずれも心イベントの独立した予測因子であり,特に中等症以上のMRとTRが合併した際にはイベント回避率が低かった(平均観察期間の24ヵ月における心臓死または心不全入院の回避率が27%).また,心不全入院した心房細動例では,薬物療法