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ため,左室形成術全般の効果がないと解釈するべきではない.観察研究においては左室形成術の有用性は多数報告されており265),わが国におけるSURVIVEレジストリーの解析では,左室形成術後の左室収縮末期容積係数が40 ~80 mL/m 2 の間となる症例ではCABGに左室形成術を追加することで生命予後が改善すると報告した266).小さい左室には形成術の追加による効果は少なく,また高度に拡大した左室に対する形成術は予後不良と報告される267, 268).よって,左室形成術の適応については限定的であり,今後さらなる検討が必要だが,予後改善効果は得られる可能性があると考えられる.非虚血性心筋症においては左室形成術の有用性は確立されていない. 4.3.2 外科治療の適応と時期(表14,図10) 本症は心室の疾患であり,左室に病変の本体があるため,MRを止めることがかならずしも本質的な疾患の治療になるわけではない.心不全に対する十分な内科治療が大前提となる(推奨クラスI) 269, 270).外科治療においては,血行再建を同時に行うことにより左室心機能の改善が期待できる虚血性心筋症と,MRのみを制御する非虚血性心筋症は分けて考える必要がある.血行再建の余地がない虚血性心筋症のMRに関しては,非虚血性心筋症と同様のストラテジーで手術適応を考える. 虚血性の場合,虚血解除の方法として経皮的冠動脈インターベンション(PCI)とCABG があるが,PCI とCABGの違いは,CABGでは虚血解除に加え弁輪形成術・その他の外科手技ができることである.CABGかPCIかの選択は,同時に僧帽弁に対する手術をする必要があるか,また僧帽弁手術をしない場合でも,低心機能に対する第一選択の血行再建としてCABGが可能かどうかで決定される.CABGが患者リスク等で不適の場合は,心筋虚血の解除目的またMRの改善効果も含めてPCIの選択になる.さらに必要であればMitraClip ®も考慮される.症例ごとの議論が必要である. a. 重症MR i. CABGによる血行再建を行う場合 左室後下壁にバイアビリティがある場合は,単独CABGでも左室機能を改善し,MRを軽減できる可能性はあるが,重症MRの場合は通常CABGのみではMRの改善は不十分な場合が多い.二次性MRは軽症,中等症でも心筋梗塞後の生命予後を悪化させることが報告されている236).したがって,CABG後にMRが残存する可能性の高い重症MRに対しては,LVEF>30%で体外循環を使用するリスクが高くなければ,僧帽弁への手術介入が推奨される(推奨クラスI).LVEF≦30%であっても,左室のバイアビリティ,体外循環を使用することのリス ク,MRが心不全にどの程度関わっているかなどを加味し,僧帽弁への介入を慎重に考慮する(推奨クラスIIb). 僧帽弁手術に関しては,MR再発リスクの高い症例(表15) 248, 272-277)は弁置換術もしくは弁下への追加手技を加えた弁輪形成術を,再発リスクの高くない症例は弁輪形成術を選択する. ii. CABGによる血行再建を行わない場合 無症候性の場合は注意深い定期観察とする.厳密な内科的治療,適応があれば心臓再同期療法(CRT)を行ったうえ(推奨クラスI)で心不全のコントロールが困難な場合,LVEF>30%であればMRへの介入を考慮する(推奨クラスIIb) 278).患者の全身状態や左室機能279)を考慮してカテーテル治療を行うか手術を行うかを弁膜症チームで相談する.LVEF≦30%の場合,内科治療と比較して生命予後を改善しないという報告もあり280),患者の年齢や全身状態を評価したうえで,左室補助装置や心移植治療,僧帽弁への介入(カテーテル治療もしくは手術),もしくは厳密な内科治療の継続を行うかを弁膜症チームで決定する. 表14 左室収縮機能低下に伴う二次性MR に対する内科・ 外科治療の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 心不全に対する十分な薬物治療(ACE阻害薬,ARB,β遮断薬,ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)269, 270) I A適応があれば(急性・慢性心不全診療ガイドライン[2017 年改訂版]271)参照), CRT による心不全治療I A CABG による血行再建術の適応がある重症MR で,LVEF >30%の症例に対する僧帽弁手術I C CABG による血行再建術の適応がある重症MR で,LVEF ≦30%の症例に対する僧帽弁手術IIb C CABG による血行再建術の適応がある中等症MR で,後下壁領域にバイアビリティがない症例に対する僧帽弁手術IIb C CABG による血行再建術の適応がある中等症MR で,後下壁領域にバイアビリティがある症例に対する僧帽弁手術を伴わないCABG IIb B CABG による血行再建術の適応がない重症MR で,心不全症状が持続するLVEF >30%の症例に対する外科的またはカテーテルによる僧帽弁に対する介入IIb B