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p.30 抽出テキスト

形成術の適応となる場合もあり,重症左室機能低下例の手術適応については特に弁膜症チームでの慎重な議論が必要である. ii 無症候性MRに対する手術適応

僧帽弁逸脱による重症MRに対しては,近年の僧帽弁形成術の普及と技術向上および良好な治療成績を反映し,無症状の症例に対してより積極的に形成術を行う方向となってきている.無症候性MRの手術適応を考慮する際には,術後の予後に関与するとされるいくつかの因子について正確に評価した上で,弁膜症チームによる慎重な判断が必要である. 1LVEFとLVESD

LVEF≦60%の収縮能低下またはLVESD≧40 mmの左室拡大を呈する場合には術後の予後が不良になることが示されており,早期介入した場合の予後が良好であることから,これらの左室機能低下兆候を来たした場合には,僧帽弁形成術または置換術の適応となる(推奨クラスI) 21, 209, 210).これらの手術時期の決定に際し重要な指標となるLVEFやLVESDに関しては,おもに欧米患者データに基づくエビデンスによる基準が用いられてきたため,比較的体格の小さな日本人に当てはめる場合はBSA補正値の必要性なども考慮する必要がある.よって,今回の

ガイドラインではBSA≦1.7m 2 の症例では,左室拡大の指標とされるLVESD≧40 mmに対応してBSA補正値であるLVESD index≧24 mm/m 2 を参考値として提示している.エビデンスは多くないが,断層法での計測にくらべ3Dエコーで計測した収縮末期容量係数40mL/m 2 の方がより術後の予後を反映するという報告もある211).また, LVEF≦60%またはLVESD≧40 mmの基準に達していない範囲であっても,経時的な変化で左室機能低下が進行する場合にも手術の適応を考慮する(推奨クラスIIb). 2肺高血圧・心房細動

左室機能が保持されている症例でも,新規に心房細動が発症した場合や安静時の肺高血圧(肺動脈収縮期圧> 50 mmHg)を呈する症例は僧帽弁手術の適応となる(推奨クラスIIa) 43, 212, 213).心房細動に関しては,発症時期が明らかでない場合もあるが,重症MRの診断時に心房細動を認め,MRの主因がflail leafletなど明らかに一次性MRであり,手術により予後の改善が期待できると判断された場合には手術適応を考慮する.

新規発症心房細動 または安静時PASP>50 mmHg

推奨クラス IIa

僧帽弁形成術僧帽弁形成術(僧帽弁置換術)

推奨クラス IIa僧帽弁形成術(僧帽弁置換術)

推奨クラス IIa

僧帽弁形成術(僧帽弁置換術)

推奨クラス I

症状なし症状あり

なし

なし

いいえはいはいあり

ありありなし

いいえ

内科治療

LVEF≦60% またはLVESD≧40 mm (LVESDI≧24 mm/m2)

左室機能低下LVEF≦30%著明な左室機能低下

半年から一年毎の経過観察経時的にLVEFが低下または

LVESDが増大するものは

手術適応を考慮重症一次性MR EROA≧0.4 cm2,逆流量≧60 mL,VC幅≧0.7 cmなど*

外科治療の効果が期待できる   **

安全に耐久性のある

弁形成が可能    **

図6重症一次性MR の手術適応*重症度評価については本文参照,**弁膜症チームの協議により判断するLVESDI: LVESD index(=LVESD/BSA),PASP: 肺動脈収縮期圧,VC: 縮流部