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p.17 抽出テキスト

60 mmHg)の出現が予後と関連するが,手術適応を決定するにはエビデンスが不十分である3, 53).

MSでは,安静時のドプラ心エコー所見と臨床症状との間に乖離がある場合,僧帽弁mPGおよび肺動脈圧の反応を評価する目的で運動負荷心エコー図検査が推奨される(推奨クラスIIa) 54).

ARでは,負荷による心拍数増加によって拡張期が短縮するため,負荷時に逆流量が減少する可能性がある.このため,ARの重症度の評価に負荷試験は推奨されない55).また,エビデンスは少ないが,重症度と症状が乖離する場合の血行動態・左室収縮予備能の評価目的で用いられることがある(推奨クラスIIb).

3.2 コンピュータ断層撮影(CT)・磁気共鳴 イメージング(MRI)

弁膜症の形態学的,機能的評価は通常TTE,TEEで行われるが,近年,より精度の高い評価のためにCTやMRIも積極的に使用されている.

CTでは形態の評価に加え石灰化の評価に優れており,とくに近年急速に普及しているTAVIではCTによる術前スクリーニングと手技計画が安全で確実な手技施行に重要である65-68).またCTは冠動脈病変評価における陰性適中率が高いため,弁膜症手術における術前の冠動脈疾患の除外にも有用である69).また大動脈二尖弁の診断や上行大動脈径の評価にも有用である70).

近年,CTで心周期における弁尖の可動性評価をより正確に行うことが可能となってきており,外科的大動脈弁置換術(SAVR),TAVI術後の弁血栓症の診断にも有用である71-73).

MRIは弁や右室,左室機能などを含む心臓全体の形態的な評価に加え,特に心室容量や逆流量の定量評価,心筋の線維化など質的評価も可能である74, 75).特に機能性MRにおける病因の検索やTRにおける右室収縮,拡張能の評価にも有用である76).

TTE,TEEとともに,これらのモダリティを駆使し組み合わせることにより,より正確な診断を行うことが重要である76).

4 侵襲的診断(表7)

弁膜症の診断および重症度評価は,ほとんどの場合TTE,TEEにより可能であり,かならずしも侵襲的な心臓カテーテル検査を必要としない.しかし,心エコー図

検査での評価が困難な患者や,臨床症状と心エコー図所見に乖離があるような患者,あるいは心不全の程度についてより詳しい病態を把握したい場合は,心臓カテーテル検査による重症度・血行動態評価が有用と考えられる(推奨クラスIIa).

心臓カテーテル検査の項目は,左心系と右心系に分けられる.左心系検査では冠動脈造影に加え,左室造影により左室サイズおよび左室収縮能,壁運動異常,MRを評価する. また左室拡張末期圧測定による心負荷の評価や,大動脈左室圧較差測定によりASの評価も行う. 大動脈造影ではARの評価と上行大動脈径の測定も重要である. 逆流評価の詳細は各論に譲るが,MRでは左室造影による左房の造影度合い,ARでは大動脈造影による左室の造影度合いでそれぞれ4段階評価する. そのためにはピッグテールカテーテルを適切な位置に留置し,適切な造影剤量で撮影することが重要である. また心房細動を合併している場合は左房拡大を伴うことが多く,左房が十分に造影されないこともある. その場合は総合的に弁逆流を評価する.弁膜症における右心カテーテル検査では肺動脈圧,肺動脈楔入圧に特に注意する.MSでは重症度判定に,肺動脈楔入圧と左室圧の同時圧測定による圧較差や肺動脈圧測定を用い,場合によっては運動負荷も検討する.また肺動脈楔入圧のv波がMR重症度の1つの指標となることがある.

なお,冠動脈造影検査については,重症弁膜症患者で外科手術が検討される際に,冠動脈疾患の既往がある患者,心筋虚血が疑われる患者,左室機能障害のある患者, 40歳以上の男性もしくは閉経後の女性,1 つ以上の心血

表7  弁膜症患者に対する侵襲的検査の推奨とエビデンス

レベル

推奨クラスエビデンス

レベル

重症弁膜症で以下の項目のいずれかを有する患者に対する術前冠動脈造影検査・冠動脈疾患の既往・ 心筋虚血を示唆する何らかの検査所見・左室機能障害・40 歳以上の男性・閉経後の女性・1 つ以上の心血管危険因子I C心エコー図検査での評価が困難な患者や,臨床症状と心エコー図所見に乖離があるような患者に対する心臓カテーテル検査による重症度・血行動態評価IIa C中等症~重症二次性MR を有し虚血の関与が疑われる患者に対する冠動脈造影による精査IIa C