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p.12 抽出テキスト

1 症状と身体所見・血液検査

1.1 病歴

弁膜症の治療方針は機序診断や定量評価に加え,症例ごとの臨床的な評価を総合して決定される.特に症状の有無は治療方針に大きく影響するため,病歴の聴取はきわめて重要である.一般的に慢性弁膜症は経過が緩徐であるため,無意識に症状が出るような活動を避けるよう

になり,患者が症状を自覚していないことがある.特に高齢者ではこのような傾向が強く,注意が必要である.このため,患者の主観的な症状による評価よりも,日常生活における緩徐な症状の進行を検出できる質問を行うなどの工夫が必要である.心不全の既往があり,それに対する治療を受けた状態で無症状の場合は有症状と判断すべきである.また,合併症や治療歴に関する病歴聴取は,症状の鑑別診断ならびに治療方針の決定において重要である.

第1章 弁膜症の診断・評価法

表3本ガイドラインで取り上げた5つのCQ とその推奨

システマティックレビューによる評価

推奨の強さエビデンス総体の

強さ

CQ 1無症候性重症一次性MRで左室収縮末期径(LVESD)<40 mmかつ左室駆出率(LVEF)>60%,心房細動も肺高血圧もない症例の早期手術は推奨すべきか?

安全で耐久性のある形成術が可能な場合には早期手術が推奨される. 2 C

CQ 2 LVEFの保たれた(≧50%)無症候性重症ARに,LVESD index>25 mm/m2で大動脈弁手術を推奨すべきか?

LVEFの保たれた(≧50%)無症候性重症ARはLVESD index> 25 mm/m2で大動脈弁手術を行ってもよい. 2 C

CQ 3 LVEFの保たれた無症候性超重症ASに早期手術は必要か?

大動脈弁最大血流速度≧5.0 m/秒,平均圧較差(mPG)≧60 mmHg,大動脈弁口面積(AVA)<0.6 cm2 の超重症ASには,無症状であっても手術リスクが低い場合には手術を推奨する. 2 B

CQ 4左心系弁手術の際,軽症のTRであっても弁輪拡大が高度(>40 mmもしくは>21 mm/m2)な場合は三尖弁形成を加えるべきか?

左心系弁手術の際,軽症のTRであっても弁輪拡大が高度(>40 mmもしくは>21 mm/m2)な場合は,三尖弁形成を加えてもよい. 2 C

CQ 5生体弁置換術後の心房細動例に直接経口抗凝固薬(DOAC)は使用可能か?

生体弁置換術後の心房細動例にDOACは使用してもよい. 2 C