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p.108 抽出テキスト

重症AS患者の緊急非心臓手術は,心臓麻酔科医による侵襲的な血行動態またはTEEを用いた管理下で行うべきである.一方で,待機的非心臓手術の管理は症状の有無と手術の種類によって決まる3).有症候性重症ASでは,非心臓手術に先行してSAVR/TAVIを施行すべきである855, 856).SAVRかTAVIかに関しては,第5章5.3(外科治療・カテーテル治療の適応と時期)を参照されたい. SAVR/TAVIが解剖学的要素・患者背景などからリスク高い症例では,経皮的バルーン大動脈弁形成術を検討する(図23) 386).無症候性重症ASの場合は,心不全増悪のリスクはあるものの,待機的非心臓手術は安全に行うことが可能である.ただし,無症状でも循環血液量の大きな変化を伴う高リスク非心臓手術では,SAVR/TAVIを先に行うことを考慮する.

4.2.2 MS

MSの管理はASと同様,前負荷と正常洞調律の維持である.特に,左房圧を上げないような輸液投与に注意する.軽症MS(MVA>1.5 cm 2),MSの重症度に関わらず無症状および肺動脈収縮期圧<50 mmHgでは,安全に非心臓手術を行うことが可能である.有症状や肺動脈収縮期圧>50 mmHgの患者では,非心臓手術が高リスク手術の場合,術前にPTMCを考慮する3).

4.2.3 AR/MR

いずれの疾患も,後負荷を下げることで心拍出量は増

表53 手術および手技による非心臓手術のリスク分類*

低リスク: <1%中等度リスク: 1~5%高リスク: >5%

•表在外科手術•乳腺手術•歯科手術•内分泌手術:甲状腺•眼科手術•再建手術•無症候性頸動脈手術(CEAまたはCAS) •婦人科小手術•整形外科小手術•泌尿器科小手術(経尿道的前立腺切除術) • 腹腔内手術:脾摘,裂孔ヘルニア修復,胆

のう摘出•症候性頸動脈手術(CEAまたはCAS) •末梢動脈形成術•動脈瘤血管内修復術•頭頸部手術•神経外科/整形外科大手術 (股関節,脊椎) •泌尿器科/婦人科大手術•腎移植•胸腔内非大手術•大動脈・主幹血管手術

• 下肢血行再建術または切断術または血栓塞栓摘除術•十二指腸ー膵臓手術•肝臓切除術,胆道手術•食道切除術•腸管穿孔修復術•膀胱全摘術•肺切除術•肺または肝移植術

CAS: 頸動脈ステント,CEA: 頸動脈内膜摘除術* ここでの手術リスクは,特定の手術介入に対する一般的な「心血管死および心筋梗塞の30日リスク」を示すものであり,患者の併存疾患での調整は行っていない(Kristensen SD, et al. 2014 854) より[Ann Surg 2012; 255: 696-702より作表]) Reprinted and translated by permission of Oxford University Press on behalf of the European Society of Cardiology. OUP and the ESC are not responsible or in any way liable for the accuracy of the translation. The Japanese Circulation Society is solely responsible for the translation in this publication/reprint.

待機的非心臓手術が必要な重症AS患者

非心臓手術厳重な管理下で

の非心臓手術SAVR/TAVI

を優先厳重な管理下での非心臓手術

または経皮的バルーン大動脈弁形成術を考慮

非心臓手術リスクSAVR/TAVIのリスク*

低~中等度リスク高リスク高リスク低リスク

高リスク低リスク

SAVR/TAVIのリスク*

症状なし症状あり

図23 重症AS と非心臓手術の管理* 解剖学的/患者背景をふまえた,その手技のリスク(SAVRかTAVIかの選択については 第5章 ASを参照)