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p.101 抽出テキスト

2 大動脈弁形成術(AVP)・ 自己弁温存基部置換術

2.1 術後の評価とフォローアップ

AVPの評価は心エコー図での評価が中心である.術前の心機能とARの成因,それに対する術式とその後の経過を理解して観察を行う.

2.1.1 手術室でのTEE

大動脈遮断解除後,循環動態が安定した状態で評価を行う.遠隔期のAR再発回避のための良好な接合の指標として形成術後の計測でcoaptation length≧4 mm 762), effective height≧9 mm 414)が報告されている(effective heightはBSAと相関するため763),これらの海外からの数値を参考とする場合,日本人では体格を考慮する必要がある).これらの他,術後AR再発の予測因子としては,形成後の弁尖が左室側に張り出し,弁輪面よりも左室側で接合していること,残存ARがあることなどが報告されている762).軽症の残存逆流でもAR再発のリスクとなる762)との報告もあるが,弁尖の接合が良好で,長軸方向に観察される軽症以下(縮流部幅<3 mm)のセントラルジェットであれば許容できる.中等症以上の逆流や軽症の逆流でも偏在性に弁尖に沿うように観察されるものは,不完全修復や弁尖逸脱の残存が考えられ,再度心停止として修復を行う.弁輪縫縮を施行された場合は弁輪径を計測し,計画通りに縫縮されていることを確認する.また過度な弁尖,基部の縫縮は狭窄の原因となり,中等症以上のAS(AVA≦1.5 cm2)が考えられる場合は再修復を考慮する.冠動脈血行再建を行った場合は起始部の血流および左室壁運動異常の有無を確認するほか,基部の深い剥離を行った際はバルサルバ洞と心房,心室間の交通がないことを確認する. 2.1.2 術後のフォローアップ

脈圧の変化や拡張期雑音の出現に注意しながら経過を観察し,術後1週間から退院までの間にTTEで左室機能と逆流,狭窄の評価を行う.上行大動脈周囲の血腫はTTEのみでは評価困難なこともあり,退院前にCTで評価を行う.冠動脈血行再建を行った場合は心臓CTを施行し,吻合部の評価を行うことが望ましい.この際は同時に弁尖や基部の評価もあわせて行うとよい.術後1~2年にはプラトーとなる僧帽弁形成術後のMR再発率と異なり,AVP後のAR再発は経時的に一定してみられる傾向にある.縫合の離開,形成部の穿孔などに起因するAR再発では,経過中,逆流量に大きく変化がみられる. TTEのフォローアップの頻度については明確に示された基準はないが,目安として退院時,退院後1~3ヵ月,その後6ヵ月ごととし,経過をみて1年ごとのフォローとすることが望ましい.

2.2 再手術の適応

AR再発の原因は手術手技によって異なり,頻度も施設によってさまざまである.弁尖逸脱の残存や進行,縫合の離開,形成部の穿孔,弁尖の瘢痕化や石灰化,弁輪の再拡大,IE,大動脈解離などが報告されている403, 405, 407, 762). AR再発に対する再手術については形成可能な例はごくわずかであり,弁置換が選択されることがほとんどである.再手術の適応については弁置換を前提として,ARの初回手術のガイドラインに準じて決定する.また,症状を伴う重症ASがある場合は再手術の適応となる.重症には至らないが中等症以上のARがあり症状を伴っている場合,もしくは経時的に左室拡大やLVEF低下がみられる場合はARの重症度を過小評価している可能性も考えて慎重に評価し再手術の適応を検討する.BNPの経時的変化も参考となる.TTEのみでは逆流の重症度や成因を明らかにできない症例ではTEEを考慮するが,人工血管などによるアーチファクトのため弁尖の観察が困難な場合は心臓CTを用いて評価を行う.症状と画像所見に乖離がある場合,運動負荷心エコー図検査を行って症状と循環動態の変化を確認することは再手術適応の判断に有用である48).