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おわりに 治療ガイドラインは誰のためにあるのか?――これはいつも議論になるところである.もちろんガイドラインには法的拘束力はない.現在までに積み重ねられたエビデンスに基づいて,さまざまな病態に対して何が標準治療かを示すものである.ただ,前提となるのは,どの医療施設においても専門的手技を伴う侵襲的治療が標準的なレベルで行われていることである.このためには,内科も外科もそれぞれの専門医制度の枠組みの中で,専門的技術の質の確保が重要な役割を果たす.そして,本ガイドラインでも組み込まれたように,ハートチームが今後,治療方針の決定に重要な役割を果たしていくが,ハートチームが有効に機能するためには,各施設において治療成績に関する情報が共有されていることが大前提となる. ガイドラインはあくまでも治療を行うための指針であって,各施設においては推奨クラスI の治療ではなく推奨クラスIIbもしくはIIIの治療法さえも用いられる場合があるであろう.それも状況によっては容認されることである.ただ,その場合には,より推奨クラスの低い治療法を用い る理由がハートチーム・ディスカッションの中で明確に示される必要があり,また何よりも患者に対する説明が必要である.そして治療ガイドラインを発行する学会の責任としては,実臨床において治療ガイドラインがどの程度遵守されているのか(guidelines adherence),またその結果としての治療成績がどうなのかを,把握する必要がある. 最近の医療訴訟事例では,治療ガイドラインを鑑みた説明義務違反,また発行主体である学会に対する監督義務違反を問う訴訟案件も散見される.2002年に発表された「新ミレニアムにおける医のプロフェッショナリズム:医師憲章」の中で,プロフェッショナルとしての一連の債務の一つとして,科学的根拠に基づいた医療を行うことを謳っている1179).われわれ医療に携わる者は,職能集団としてそのプロフェショナリズムを発揮することがますます重要であり,そのことがわれわれを守り,ひいては患者を守ることになるかと思われる. 単群試験において,虚血性心筋症患者に本治療を行うことにより,症状,心機能の改善,心不全症状の軽減を認め,BNP,肺動脈圧,肺動脈血管抵抗の有意な低下を認めている1176).また小児および成人の拡張型心筋症に対しても適応拡大を得るための医師主導型治験が終了し,適応拡大に関して現在検討中である. 現在,筋芽細胞シートは重症心不全患者すべてに有効性が検証されているわけではなく,今後は同治療法に反応 する患者群の選定が必須である. また,より有効性が高いことが予測されるiPS細胞由来心筋細胞移植1178)の臨床研究が,厚生科学審議会再生医療等評価部会にて承認され,first in human試験が開始される予定である.