p.96 抽出テキスト
HCRはこれら2つの血行再建術の欠点を可及的に回避し,利点を生かして,遠隔期成績を保持しつつ手術侵襲を減少させることを目的としている.現在,米国で全CABGに占める割合は0.5%とされる1141). 2.2 適応 HCRの適応(表71)を考えるためには,PCIとCABGの最新のエビデンスを把握しておく必要がある.本ガイドラインでも随所で紹介しているが,DES対CABGのRCTであるSYNTAX試験142),FREEDOM試験172),EXCEL試験193),NOBLE試験194),11 のRCTをまとめた統合解析173),米国のデータベースをまとめたASCERT 研究1142, 1143)などが重要である. 2012年のACC/AHAのガイドライン181)ではHCRの適応について,1上行大動脈高度石灰化や標的血管が細いなどのCABG困難症例,2CABGのグラフト血管が性状不良な症例,3LADがPCI不適応の高度屈曲または完全閉塞病変を有する症例とされている(クラスIIa).この他,高齢者,悪性疾患を含む重症併存疾患やフレイルを有し手術リスクの高い症例,開心術や胸部放射線治療の既往がある症例ではHCRを考慮する1144, 1145). これに対し,抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)が困難な症例,手術が必要な弁疾患を有する症例,アクセス血管に乏しい症例,LAD以外が複雑病変でPCI困難な症例ではCABGを,重症閉塞性肺疾患,内胸動脈グラフト性状不良の症例ではPCIを考慮する1146, 1147). 2.3 施行順序 最近のメタ解析では,HCRの一期的施行と段階的施行とで成績(病院死亡,周術期の心筋梗塞・脳梗塞・再血行再建,1年生存率)に差はないと報告されている1148).外科的術式は低侵襲治療という点から左開胸小切開,オフポンプ手術が標準である. 一期的に行う場合はハイブリッド手術室で先にMIDCABを行ってからPCIを行うのが標準的で,外科医 図9静脈グラフトと薬剤溶出性ステントの血行再建不全(Harskamp RE, et al. 2013 1139) より) Copyright (2013) by the Society of Thoracic Surgeons, with permission from Elsevier. https://www.annalsthoracicsurgery.org/ 1 年後の造影における静脈グラフト不全再狭窄とステント血栓症 発生率(%) SMART, 2004 PREVENT-IV, 2005 Sabik, 2005 Cho, 2007 Desai, 2007 Kim, 2008 Khot, 2004 TAXUS II, 2009 ENDEAVOR I, 2009 ENDEAVOR II, 2010 ENDEAVOR III, 2011 SPIRIT I, 2005 SPIRIT II, 2006 SPIRIT III, 2008 35 30 25 20 15 10 5 0グラフト不全または再狭窄 ステント血栓症 表71 ハイブリッド冠動脈血行再建のための患者選択 適応 ・CABGが困難(上行大動脈,大動脈弁,僧帽弁高度石灰化)・内胸動脈以外のグラフトの性状不良・ 左冠動脈前下行枝(LAD)がPCI不適応(完全閉塞,高度石灰化,分岐部)で末梢がバイパス可能・LAD以外の病変がPCIの適応・CABGの既往あり・胸部放射線治療の既往あり・急性冠症候群例でのPCI後のLADを含む残枝病変禁忌患者因子・抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)が困難・重症閉塞性肺疾患,左開胸の既往あり・手術が必要な弁疾患・不安定狭心症解剖因子 ・LAD以外が複雑病変・内胸動脈の性状不良