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第13章 将来展望 1 ロボットPCI 1.1 システムの概要と操作法 PCIロボットはPCI補助ロボットであり,2018年に本邦でも使用が承認された.現行のシステムはベッドサイドユニットと操作コックピットで構成される. 術者はカテ台から離れた場所にあって放射線を遮断した操作コックピット内で,座位で操作を行う.X線透視・撮影用モニターを見ながら,ジョイスティックを用いてガイドワイヤーの前進・後退と左右方向への回転を,別のジョイスティックでバルーンカテーテルやステントの前進・後退を操作し,3番目のジョイスティックでエンゲージされたガイドカテーテルの前進・後退を行う.この操作に応じてベッドサイドユニットがガイドワイヤーの挿入から血管の選択,バルーン挿入と位置決め,ステント挿入と位置決めを行う.通常は術者が手で行う部分をこのベッドサイドユニットが行うことになるが,PCIに必要なシースの挿入,ガイドカテーテルの挿入から位置決め,ガイドカテーテルへのバルーンやステントの取り付け挿入はマニュアル操作で行う必要がある.ガイドカテーテルは6~7 Fに対応し,側枝をガイドワイヤーで保護した状況で本幹の治療も可能である.特別なガイドワイヤー,バルーン,ステントは必要とされず,橈骨動脈または大腿部からのアプローチが可能である. 1.2 適応,利点と課題 当初の推奨病変は1ステントで病変長24 mm以内のものであったが1135),AHA分類のタイプB2/Cに相当する複雑病変も治療可能であり1136, 1137),慢性完全閉塞(CTO)病変に対してはガイドワイヤーが病変通過するまでをマニュアルPCIで,その後バルーン拡張からステント留置までをロボットPCIでという,いわゆるハイブリッドPCIも行われ ている. 手技時間はマニュアルPCIよりセッティング時間の分,若干長くなる可能性があるが,透視時間には差がないと報告されている. 利点の一つとして,マニュアルPCIよりステント留置の際の長軸方向の位置決めのミスが有意に少ないことが挙げられる1138).このため造影剤の使用量を減らせる可能性がある.最大のメリットは放射線防御にあり,主術者の被曝線量はテーブル周囲の術者に比して90%以上少ない.欧米では被曝に伴う医療者被害が問題視されており,病院管理の観点からも注目を集めている.また,将来的には遠隔地医療に応用可能ではないかと期待されている.一方,現状の問題点としては,使用できる血管内イメージング手段が電子操作式血管内エコー法(IVUS)に限定されることである. 2 ハイブリッド冠動脈血行再建 2.1 現状 ハイブリッド冠動脈血行再建(HCR)とは多枝病変に対する治療でCABGとPCIを組み合せて行う治療である.その定義は,1左内胸動脈(LITA)-左冠動脈前下行枝(LAD)による低侵襲冠動脈バイパス手術(MIDCAB,ロボットを含む),2薬剤溶出性ステント(DES)を用いたPCI,3一期的あるいは60日以内の段階的施行,とされることが多い1139). LITAを用いたCABGは優れた長期成績をもたらし,重症多枝病変を有する多くの症例で標準的治療となっている.しかしながら,静脈(大伏在静脈:SV)グラフトの長期開存率は未だ満足できるものではなく,ステント血栓症発症率や再狭窄率の低下というステント技術の革新によりPCIの開存率がSVグラフトを凌駕している(図9) 1140).