p.89 抽出テキスト
いLDL-C値を推奨した1086).最近では静脈グラフト以外の自己冠動脈病変への効果も含めて,心臓関連のイベント発生率がさらなるLDL-C低値で有意に抑えられるため, LDL-C値は70 mg/dL以下が目標値として推奨されている1083–1085). 小腸コレステロールトランスポーター阻害薬エゼミチブをスタチンに併用することにより,スタチン増量よりもLDL-C低下効果と血管イベント抑制効果があることが報告されており,スタチン単独でLDL-Cを十分に低下させられない場合には併用処方が推奨されている118, 1087).前駆蛋白変換酵素サブチリシン/ケキシン9(PCSK9)阻害薬であるエボロクマブの使用も開始され,スタチンとの併用による動脈硬化性疾患抑制効果が報告されており,CABG術後使用でのエビデンスが待たれる119). なお,HDL-C低値例や中性脂肪高値例でも自己冠動脈疾患の進行が認められ1088),禁煙,運動療法,食事療法が推奨されている. 2.4 β遮断薬など,その他の薬物 表68 CABG 施行時のβ遮断薬,アンジオテンシン変換酵 素阻害薬の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 術後の心房細動予防目的でのβ遮断薬の投与I A低心機能例や心筋梗塞既往例に対するβ遮断薬,アンジオテンシン変換酵素阻害薬の投与I B β 遮断薬内服は周術期の心房細動予防を目的として,術前およびCABG術後に推奨されている1089–1093).その他に,低心機能例や心筋梗塞既往例に対してβ 遮断薬とアンジオテンシン変換酵素阻害薬が推奨されている.これは遠隔期に死亡率や心不全発症率が改善されるとの報告が多数あることによる1094–1097). 第10章 本邦におけるvolume-outcome relationship 医療現場での「経験」は診療における重要な要素と認識されてきた.このことは外科系の治療手技については特に顕著と想定され,手術の経験数はその成績に大きく影響すると考えられてきた. 1 PCI PCIの症例数と結果の量的な関係(volume-outcome relationship)については,2011年に改訂されたACCF/ AHA/SCAIのガイドラインで初めて明確な術者・施設経験基準が設けられた(術者の年間経験数75例以上,施設の年間経験数400例以上:クラスI,エビデンスレベルC) 1098).そ の後,PCIの安全性の向上やデバイスの進化に伴い,基準の緩和に向けての動きがみられた.2013年にACCF/AHA/ SCAI は「Update of the Clinical Competence Statement on Coronary Artery Interventional Procedures」 1099)をまとめ, 「施設経験は年間200例以上,術者経験は年間50例以上(2年以上の平均)」と改訂している.実際,かつては症例数の増加が院内予後の改善に結びつくとする研究が多数を占めていたものの,近年の研究ではそうした傾向は薄れてきている1100–1102). 本邦でもNational Clinical Database(NCD)のJ-PCI 2014年と2015年データを用いて,625施設4211例の術者により施行された323,322症例が検討され,2017年に報告された1103).本邦の特徴としてPCI施行可能施設数が国土面積の割りに多く,施設あたりの症例が欧米と比較した場合に少ないことが,以前から指摘されていた.実際に同報告においても,上記米国基準にあたる年間200例以上のPCIを施行している施設は,全体の約半分にすぎなかった. そうした状況下で施行されたvolume-outcome解析で