p.79 抽出テキスト
う必要があるかどうかを,造影所見のみから判断するのは難しい場合があるが,側枝での血流予備量比(FFR)の結果から判断するのが有用とされている962, 963). 10.2.4 proximal optimization technique: POT POTは,本幹の遠位部から分岐部をまたいで近位部までステントを留置した後に,本幹の近位部をその部位の血管径に合ったサイズのバルーンで拡張する手技である964).この手技により,本幹近位部のステントの近位部のストラットを血管壁に密着させることができ,より遠位部のストラットから側枝のガイドワイヤーを通過させることが容易になる.また,近位部から側枝のガイドワイヤーを選択する場合に,そのガイドワイヤーがストラットの外側を通過するリスクが低くなるという利点がある.さらにLMT病変では,ステントを入口部まで留置していると,POTを行うことにより,ガイディングカテーテルによるステントの変形をきたすリスクが低くなる. 10.2.5 側枝のガイドワイヤーの再選択 側枝のガイドワイヤーの再選択部位はその後のステントの拡張に影響を与える可能性がある.基本的にはワイヤーでストラットをできるだけ遠位側で通過させることにより,分岐部にストラットが残存せず,良好な拡張を得られる可能性が高い.側枝のワイヤーが遠位部にあることを確認するために,血管内エコー法(IVUS)やOCT(OFDI)が有用である.OCTでは3次元画像を得ると,より適切なワイヤー選択部位を認識することができる965).ワイヤー再選択に際して,モノレールルーメンとガイドワイヤールーメンのあるカテーテルを用いると,側枝の選択を安全かつ確実に行える. 10.2.6 側枝閉塞の予防 分岐部にステントを留置すると側枝が閉塞する可能性がある.側枝閉塞のリスクを減らす方法として,側枝にあらかじめバルーンを入れる方法(jailed balloon) 966, 967)や,そのほかに貫通用のカテーテル(CorsairTM)を入れる方法968)が報告されている. 10.2.7 薬剤塗布バルーン(DCB) 2ステントの長期成績が必ずしも良好でないために,側枝に対し再狭窄予防効果を期待してDCBを用いる治療が行われているが969),長期的有用性について結論は得られていない. 10.2.8 血管内画像診断の意義 分岐部病変のPCIでより良好な初期成績と長期成績を得るためには血管内画像診断が有用で,血管径やプラークの分布,石灰化の程度など,多くの情報が得られる.LMT分岐部でDCAによる治療を行う場合にはIVUSによる評価が必須である.また,ステント留置との関連で,LMT病変においては至適ステント拡張サイズが報告されている.左冠動脈回旋枝(LCX)が5 mm 2,左冠動脈前下行枝(LAD)が6 mm 2,分岐部が7 mm 2,LMTが8 mm 2で,このサイズを得られれば慢性期の再狭窄率は低いと報告されている970). 10.3 成績 分岐部病変に対するPCIの長期成績は,第2世代の薬剤溶出性ステント(DES)が使用可能になったことにより,第1世代のDESに比べて向上している.観察研究ではあるが,第1世代DESでは1ステント法に比べて2ステント法で予後不良であったが,第2世代DESでは2ステント法が1ステント法よりも予後良好とする報告もある971, 972).薄くなったステントストラットやステントデザインの改良が影響している可能性がある. 11 入口部病変 冠動脈入口部病変に対するPCIでは,狭窄度の評価,手技,長期成績において特殊性があり,それらの点を踏まえた対応が重要である. 11.1 病変の評価 入口部病変の狭窄度は冠動脈造影のみでは正確な評価が困難なことがあり,その場合はIVUSを用いることが有用である973).また,右冠動脈(RCA)入口部病変ではカテーテルによる冠攣縮をきたすことがあり,冠血管拡張薬を十分に投与したうえで狭窄度を評価する必要がある.入口部病変が75%前後の中等度狭窄の場合には,FFRや瞬時血流予備量比(iFR)による心筋虚血評価も有用である. 11.2 手技 RCA入口部病変に対するPCIの手技では,ステント留