p.77 抽出テキスト
らん,石灰化結節,アテローマの線維性被膜,マクロファージ,コレステロール結晶,血管壁内血管,血栓を同定できる.PCIではステントサイズの決定において重要な情報を提供し,ステントの拡張不全,ステント不完全密着,組織逸脱,解離をIVUSより正確に検出できる.さらにOCT/OFDIは,自動計測機能,血管造影とのコレジストレーション(位置合わせ),三次元画像構築,ステント不完全密着の自動検出など,IVUSにはない機能を有し,PCIのガイダンスを支援する. PCIにおいてOCT/OFDIによるガイダンスが臨床的予後に及ぼす影響は,冠動脈造影によるガイダンスに比べて良好で,IVUSによるガイダンスと同等である可能性がある931, 943-948).IVUSと同様,すべてのPCIでルーチンにOCT/OFDIを使用することは適切でないが,いくつかの特定の病変に対するPCIで選択的にOCT/OFDIを使用することは有益である.分岐部病変では側枝閉塞の予測,側枝への至適なワイヤー通過に有用である可能性がある.石灰化病変では,バルーンやロータブレーター®による前処置の効果を評価するのに有用とされている.急性冠症候群の責任病変では,OCT/OFDIによる脂質に富んだプラークや血栓の評価がno reflow(再灌流しても心筋への血流が回復しない現象)や周術期心筋梗塞の予測に有用であることが,またステント再狭窄病変では,OCT/OFDIによる新生内膜の組織性状診断がDCBの効果予測に有用であることが,推測されている. OCT/OFDIはPCI手技に伴う合併症,血栓症,再狭窄の原因究明に役立つ可能性がある.ステント留置直後の最小ステント断面積やステントエッジの脂質に富んだプラークは,慢性期再血行再建の予測因子になるという報告や, DESを用いたPCIの慢性期における,ステントの新生内膜の被覆率,遅発性ステント不完全密着,新生内膜の新規動脈硬化は,VLSTと関連するといった報告がある. 一方,OCT/OFDIには固有の問題がいくつかある.撮像にあたっては造影剤や低分子デキストランを冠動脈内に注入して血液を除去する必要があるが,冠動脈入口部や閉塞病変では血液除去が困難なため,OCT/OFDIによる観察は適さない.特発性冠動脈解離では造影剤の注入に伴う冠動脈内圧の上昇に注意する必要がある.造影剤を用いたOCT/OFDIでは撮像に伴い造影剤投与量が増加する.慢性腎臓病(慢性透析を除く)ではその適応を慎重に判断するとともに,腎機能悪化を予防するための対策を講じなければならない.OCT/OFDIの可視深度はIVUSより浅く,観察はプラーク表層に限定される.したがって,血管径,プラーク面積,血管リモデリング様式の評価には適さない. IVUSと同様,OCT/OFDIカテーテルは高度屈曲病変,石灰化病変では通過させることが困難な場合がある.また, OCT/OFDIの撮像手技や画像読影に習熟し,適応病変や費用対効果を考慮しながら使用する必要がある. 9.3 血管内視鏡 表54 PCI のガイダンスにおける血管内視鏡の推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル ステント血栓症・再狭窄の予防を目的とした使用IIb C PCI 手技に伴う合併症の予防を目的とした使用IIb Cプラーク組織性状診断によるPCI の適応決定を目的とした使用III C 血管内視鏡は1980年代にMizunoらにより原型が開発された後,カテーテルが改良,細径化され,現在は比較的末梢の冠動脈の観察も可能となっている949).血管内視鏡の特徴は血管内腔面をフルカラー,高解像度,3次元の直視に近い画像として捉え,肉眼的病理診断を可能にするという点である.本邦では,血管内視鏡は2000年に保険適用となり,日常臨床で使用可能である. 歴史的には冠動脈疾患の病態解明において血管内視鏡が果たした役割は大きい.急性冠症候群など各種病態の観察が行われ,血栓や動脈硬化性の黄色プラークの検出において,血管内視鏡が優れていることが報告されている950).また,ST上昇型急性冠症候群の症例でフィブリンと赤血球主体の赤色血栓が認められること,非ST上昇型急性冠症候群で心筋トロポニン高値の症例では血小板主体の白色血栓が存在すること951),柔らかくきわめて脆い黄色のプラークが破綻して内容物が内腔へ突出し,血栓とともに大きな塊となって血管内腔を狭小化している病態が急性冠症候群の多くを占めていることを,血管内視鏡は示した951).急性冠症候群のみならず,安定労作性狭心症の責任病変にも同様の像を認めることがある.このような病変に対してPCIを施行すると,血栓や脂質に富んだプラーク内容物が末梢塞栓を起こし,slow flow/no reflow現象,周術期心筋梗塞を引き起こすリスクが高くなるため,血管内視鏡所見から末梢保護デバイスの必要性を判断できる可能性がある951).また,新世代のDESは第1世代のDESとは遠隔期の血管内視鏡像が異なることも報告されており,血管内視鏡はDES留置後の病態解明に関する新な知見を提供している952).なお,血管内視鏡も撮像手技や画像読影に関