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第7章 PCIの手技 1 予後改善のための治療戦略 表47 PCI の基本戦略に関する推奨とエビデンスレベル 推奨クラスエビデンス レベル 機能的狭窄度評価(虚血の評価)に基づくPCI I A イメージングガイドでのステントの最適化I A 灌流域,虚血域を考慮した完全血行再建I A出血性合併症,造影剤腎症に留意したPCI I B 至適薬物治療と生活習慣の是正I A 世界で初めてのPCIは1977年9月16日,Gruentzigらによるバルーンを用いた拡張術(経皮的古典的バルーン血管形成術:POBA)で幕を開けた853).その10年後の1986年にはSigwartやSerruysらによりベアメタルステント(BMS)留置が導入され,特にバルーン拡張後の急性冠閉塞に効果を発揮することが明らかとなり,急速に普及した854–856).一方,当時BMS留置例の30%前後に発生していたステント再狭窄は「PCIのアキレス腱」と称され,大きな問題であった857, 858).これを克服するため,ステントをプラットホームとした薬剤溶出技術が開発され,1999年にはSousaらにより世界初の薬剤溶出性ステント(DES)の留置が行われた859).このようにPCIはおよそ10年ごとに大きな進歩を遂げてきた. 第1世代DESには超遅発性ステント血栓症(VLST)という課題があったが,第2世代のDESによって解決され,あらゆる病態・病変でDESが第一選択の治療となっている.このため,今日BMSの役割はきわめて限定的である.実際,2018年ESC/EACTSのガイドラインでは,すべてのPCIで新世代のDESが第一選択として推奨されている64). このようにデバイスの進化によってPCIは安定した成績が得られるようになったが,多枝病変例や糖尿病合併例の複雑病変ではCABGに匹敵する予後改善効果が示されていない.そこで,成績向上のためのさまざまな検討が進められており,予後改善に立脚した5つのPCI基本的治療戦略が推奨されている(表47).今日のPCIの要といえる. 1つ目は機能的狭窄度評価(虚血の評価)に基づいたPCIである.従来,目視による狭窄度の評価に基づいて(すなわち造影ガイドで)PCIが施行されてきたが,血流予備量比(FFR)に基づいて(すなわち虚血ガイドで)PCIを実施することの有用性が,DEFER試験,FAME試験,FAME 2試験により相次いで報告された34, 36, 134).DEFER試験は15年の追跡結果も報告されており,至適薬物治療の実践により虚血ガイドでPCIを延期することの安全性が示された35).造影ガイドPCI と薬物治療とを比較したCOURAGE試験とBARI 2D試験では,心血管イベント抑制に関するPCIの優位性は示されていないが88, 89),虚血ガイドPCIと薬物治療とを比較したFAME 2試験の5年の追跡では,心筋梗塞の抑制におけるPCIの優位性が示された860). 2 つ目は,血管内エコー検査(IVUS)によるステントの最適化である.IVUSの効用に関するエビデンスは左冠動脈主幹部(LMT)病変など複雑病変におけるPCIに限定されていたが,造影ガイドのステント留置とIVUSガイドのステント留置のall comers RCTが行われ,DES時代であってもIVUSガイドのステント留置はさらに成績を向上させる可能性があることが示された861). 3 つめは,完全血行再建である.SYNTAX試験においてPCIはCABGよりも遠隔期死亡率,心筋梗塞合併率が高かったが,完全血行再建の割合の違いが一因であると考察されている862).不完全血行再建の主たる理由は慢性完全閉塞(CTO)病変や小血管病変であるが,CTOに対するPCIの成績は近年飛躍的に向上した863).また,小血管に対する薬剤塗布バルーン(DCB)はDESに匹敵する成績が期待できることがBASKET-SMALL試験で明らかになった864).したがって,虚血域の大きさを考慮したうえで完全