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る828–831).2005年には米国FDAがICGを用いた冠動脈造影を認可している.それ以前は,CABG術中のグラフト評価法としてはトランジットタイム血流計(TTFM)による定量評価法しかなかったが,IFIを用いることにより,手術中に開胸したままの状態でバイパスグラフトと自己の冠動脈の血流状態をリアルタイムで動画にて観察できるようになった(図6). CABGにおいて,吻合グラフトの技術的なエラーを術中に確実に確認することは,術後の成績向上につながる.現在実施されている術中グラフト評価法の中で,IFIは最も感度が高く,CABGの評価デバイスとしてふさわしい826).グラフトへのカテーテルの挿入も不要で,ヨード造影剤も用いないため腎機能に影響せず,X線被曝もないことから,低侵襲の術中グラフト評価法である832–834). 本邦のCABG施行例の60%以上で行われているオフポンプ手術(OPCAB)は835),高度な技術を必要とし,グラフト開存率が低下する恐れがある.このため,TTFM血流計に加え,なんらかの映像によるグラフト評価法を加えることにより,質の高い結果を得ることができる.2011年のACCF/AHAガイドライン836)でも,IFIはICGの蛍光を利用してCABGの際の吻合グラフトの性状を画像化することにより「準定量的」にグラフトの開存評価を行うことができる評価法であるとされている. 9.1.2 臨床成績 2009年に米国の公的医療保険センター(CMS)が,ICGを用いた術中蛍光血管造影(IFVA)を行った群は,行わな かった群よりも在院日数が平均1日短く医療費も少ないことを明らかにし,非冠動脈と冠動脈に対するICGを用いたIFI(IFVA)を保険適用とした837).また,英国国立医療技術評価機構(NICE)の2004年のガイドラインでは, CABGにおけるIFIは安全かつ有効なグラフト評価方法であるとされている838). Balacumaraswamiら839)は,266本のCABGの吻合グラフトのうち,3%(8本)が血流不全であることをIFIで認め,再吻合を行った.TTFMでは10例の患者(グラフト10本)で血流不全が示唆されたが,IFIで明らかな血流を確認したため再吻合は行わなかった.グラフト開存性の評価の正確さにおいてIFIはTTFMよりも優れているとしている.Wasedaら840)は,CABGを施行された137例(グラフト507本)を対象に,IFIとTTFM,術後冠動脈造影を比較した.IFIにて6例でグラフトの吻合不良が示唆されたが, TTFMでは確認されなかった.一方,21本のグラフトで, IFIでは良好とされたが,TTFMでは要再吻合が示唆された.IFIは吻合グラフトの開存を術中に評価できる有用な方法であり,初期の技術的なエラーによるグラフト不良を回避できるとしている.Desaiらは106例を対象としたRCTで,IFIとTTFMの両方を行い,術後冠動脈造影と比較した841).その結果,IFIはTTFMより感度で有意に優れ(P=0.023),グラフト不全診断の正確性において優れているとした. 9.2 トランジットタイム血流計 CABG術中のグラフト評価は,CABGの質の向上,維持のために重要であることが,多くの論文で報告されている.術中評価法として冠動脈造影,ICGによるIFIや超音波画像などの形態評価法と,グラフト流量を測定する量的評価法とがある.冠動脈造影は侵襲的で時間も要するので,術中評価としては不向きである.IFIは比較的容易に行える検査で,有用との報告があるが,現状ではまだ普及していない826).超音波画像は心表面用プローブがあれば可能だが,評価範囲が狭く,2次元画像による評価が難しいこともある842).それに比べてトランジットタイム血流計(TTFM)は簡便で再現性のある検査法であり,もっとも普及している術中グラフト評価法である843).評価項目は平均グラフト流量,拍動指数(PI),拡張期フィリング指数(DFI)が多く用いられ,心電図同期によりPIやDFIが自動計測される.これら3つの指標から,グラフト,吻合に問 題がないか,再吻合すべきかを術中に評価する.図6 ICG を用いた術中蛍光イメージングLAD,RCA,CXの各領域のグラフトイメージと全体像を鮮明に撮影できる. 全体像 回旋枝(CX)領域 右冠動脈(RCA)領域 左前下行枝(LAD)領域